茨城県のそぼろ納豆

昔は納豆も手作りで、食べ方もその土地独特、風土の独自性が濃厚であった。まさに日本が世界に誇るべき「納豆文化」の成果と言ってよいだろう。現在でもその土地独自の加工法や食べ方が多く残っており、納豆がいかに日本人の食生活で重要な位置を占めていたかがよく分かる。

例えば、茨城県では「将門の干し納豆」「そぼろ納豆」「おかず納豆」「納豆汁」が今に伝えられている。その中でも、そぼろ納豆は「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれた逸品である。

農林水産省は全国各地に伝わる郷土料理のうち、農山漁村で脈々と受け継がれ、「食べてみたい!食べさせたい!ふるさとの味」として国民的に支持され得る料理を「農山漁村の郷土料理百選」に選定している。この郷土料理百選にまつわる歴史文化、レシピ、伝承活動なども併せて国民に向けて発信しつつ、食文化を通して地域振興を図ろうとする試みだが、この中で取り上げられたのが茨城県の“そぼろ納豆”。「おぼろ納豆」、「しょぼろ納豆」とも呼ばれる。

冷蔵(冷凍)技術がなかった時代、同県の納豆は厳冬期で10日程度、夏期には1日程度しか保存できなかったため、一度作った納豆は全部食べ切らないといけなかった。そこで余った納豆に塩や麹(こうじ)を加えて、日持ちのする保存食が考案された。そのひとつであるそぼろ納豆は水戸地方の農家で昔から作られており、現在も食べ伝えられている。塩漬けした切り干し大根を刻んで納豆に加え、しょう油などで味を調えて、より長く納豆を賞味できるようにしてある。1週間ほどで塩分がなじみ、大根も軟らかくなって、風味が出てくる。同名の商品も数社の納豆メーカーから販売されている。

ちなみに、他に名を挙げた「将門の干し納豆」は平将門が携帯兵糧として重視したと伝えられる干し納豆。「おかず納豆」は久慈地方の郷土食で、栃木県の「ひしお納豆」と同じ流れをくむ保存食であり、納豆に米麹と塩を混ぜて発酵させて作る。茨城県の「納豆汁」はネギとゴボウ、サトイモなどでみそ汁を作り、最後に納豆を加えるもの。

参考文献:永山久夫『納豆万歳』(一二三書房)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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