アルカリ臭を抑える
こんにゃくを固めるのは水酸化カルシウム、Ca(OH)2であることは先に触れた。その水酸化カルシウムの働きによってこんにゃくはアルカリ性食品となり、一方で、独特のアルカリ臭も持つ。こんにゃく製品の風味低下に大きくかかわってしまうのである。
数あるこんにゃく料理本のほとんどが、最初に下拵えについて相当のページ数を費やすのも、それが原因だ。アルカリ臭の出ないこんにゃくを何とかして作れないものか? 特許出願公開平1-2002271号は、そんなアルカリ臭の出ないこんにゃくを製造する試みだった。
グルコノデルタラクトン、フマル酸、無水クエン酸などの粉末有機酸を高融点油脂でコーティングしたものは、既にベーキングパウダーや水産練り製品、食肉加工品の製造時に使用されている。このコーティングによって、酸の生成を遅らせることができる。
例えば、ベーキングパウダーに用いると、小麦粉生地が加熱される段階までガス生成反応が抑えられ、その結果、ガスのロスが少なく、生地は無駄なく膨らむ。練り製品や食肉ソーセージの場合だと、肉たんぱくの酸変性を防ぎ、pHを低下させて保存性を高める。このコーティング酸をこんにゃくの製造に利用してみてはどうかというのだ。
具体的な手法としては、高融点油脂でコーティングした粉末有機酸を、こんにゃくゾルのアルカリ剤(いわゆる消石灰などの水酸化カルシウム)を混練する工程以前に加える。そうすると、こんにゃくのゲル化を進行させつつも、最終的には過剰アルカリも中和、こんにゃくのpHを弱アルカリから弱酸性に調整し、アルカリ臭のないこんにゃく製品ができ上がった。こんにゃくが固まるゲル化の前に酸を混ぜて中和させようとすると、ゲル化が止まってしまうため、中和剤をコーティングし、酸成分が分散して徐々に中和するようなタイムラグを設ける形だ。
農業・水産部門の技術士である中山正夫氏は、「コンニャクゲル化に使う消石灰(水酸化カルシウム)は、かなりの強塩基ゆえ、粉末酸表面に形成させたコーティング膜が果たして耐えられるかと気にかかるところだ」とコメントしている。
参考文献:中山正夫『特許にみる食品開発のヒント集 Part2』(幸書房)
数あるこんにゃく料理本のほとんどが、最初に下拵えについて相当のページ数を費やすのも、それが原因だ。アルカリ臭の出ないこんにゃくを何とかして作れないものか? 特許出願公開平1-2002271号は、そんなアルカリ臭の出ないこんにゃくを製造する試みだった。
グルコノデルタラクトン、フマル酸、無水クエン酸などの粉末有機酸を高融点油脂でコーティングしたものは、既にベーキングパウダーや水産練り製品、食肉加工品の製造時に使用されている。このコーティングによって、酸の生成を遅らせることができる。
例えば、ベーキングパウダーに用いると、小麦粉生地が加熱される段階までガス生成反応が抑えられ、その結果、ガスのロスが少なく、生地は無駄なく膨らむ。練り製品や食肉ソーセージの場合だと、肉たんぱくの酸変性を防ぎ、pHを低下させて保存性を高める。このコーティング酸をこんにゃくの製造に利用してみてはどうかというのだ。
具体的な手法としては、高融点油脂でコーティングした粉末有機酸を、こんにゃくゾルのアルカリ剤(いわゆる消石灰などの水酸化カルシウム)を混練する工程以前に加える。そうすると、こんにゃくのゲル化を進行させつつも、最終的には過剰アルカリも中和、こんにゃくのpHを弱アルカリから弱酸性に調整し、アルカリ臭のないこんにゃく製品ができ上がった。こんにゃくが固まるゲル化の前に酸を混ぜて中和させようとすると、ゲル化が止まってしまうため、中和剤をコーティングし、酸成分が分散して徐々に中和するようなタイムラグを設ける形だ。
農業・水産部門の技術士である中山正夫氏は、「コンニャクゲル化に使う消石灰(水酸化カルシウム)は、かなりの強塩基ゆえ、粉末酸表面に形成させたコーティング膜が果たして耐えられるかと気にかかるところだ」とコメントしている。
参考文献:中山正夫『特許にみる食品開発のヒント集 Part2』(幸書房)
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