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雪責め/油地獄

所用を終えて一旦帰宅後、再び、お出掛け2018_11_09_国立文楽劇場
……厳密に言うと、マンションの部屋の鍵が
掛けられ、閉め出されていたので、自宅前から
折り返しただけですけれど、大阪市・日本橋の
国立文楽劇場」へ向かいました。
11月文楽公演の第2部が16時開演です。
まずは「鶊山(ひばりやま)姫捨松(ひめすてのまつ)
中将姫雪責の段。外題の「」の漢字の偏は、
実際のところ、「庶」ではなく「」のようです。
ところで、中将姫。例の釈迢空『死者の書』
同じ元ネタではありますが、10月の「二人の読書会」テクストから
連想は伊藤晴雨に飛び、あらぬ妄想に耽ってしまうのでありました。
休憩明けの演目が「女殺(おんなころし)油地獄(あぶらのじごく)
徳庵堤の段、河内屋内の段、豊島屋油店の段となります。
しかし、この「女殺油地獄」は凄いです。近松門左衛門 69歳の作品で、
世話物に限らず、彼の最後の作品になるのではないでしょうか。
当時は初演のみで再演されることなく、歌舞伎に移植されることも無し。
明治時代に入って坪内逍遥が再評価するまで、全く人気が無かった模様。
確かに怪作ではあるのです。義理人情のせめぎ合いによって
ドラマトゥルギーを推し進めてきた近松が、晩年になって、ぽんと放り出し、
ハードボイルドやノワールに通じる“非情”の世界を提示してきた観。
河内屋与兵衛の内面には何も無いです。何を考えているか、よくわかりません。
その描写が極めて現代的でもあります。欲望の赴くままに、呑み、遊び、殺す。
“油地獄”の場面は、足遣いも左遣いも随分としんどいでしょうが、
他の演目では絶対に見られない人形の動きに目が釘付けとなりました。
そして、最後に、吉田和生の繰る女房・お吉が投げ出された寂寥感といったら
……人形浄瑠璃における人形が、本当に唯の人形であるのはもちろんのこと、
この浮世の人間もまた、その人形と何ら変わりないではないかという即物性。
近松作品の中では『女殺油地獄』を(おそらく終生)愛好し続けてしまいそうです。
       ☆
この脇差は栴檀の木の橋から川へ、沈む来世は見えぬ沙汰。この世の果報の付き時と、うちを抜け出で逸散に、足に任せて
       ☆
大事なことを忘れていました。
与兵衛がお吉を殺すのに使った脇差。
凶器の処分はどうしたかというと、
栴檀木橋」から川に投げ捨てていたのですねえ。
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テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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