根粒菌=リゾビウム
当たり前だと受け取っていたものが傷つけられ、損なわれてしまうことで、改めてその大切さを思い知る。例えば、土。土の中には多くの動物や植物、微生物が生きていて、それぞれの流儀で、土に働きかけている。代表的な微生物が細菌と糸状菌であり、主に土の粒子と粒子の間の孔隙や粒子の表面に生息している。
細菌は一般的に土壌細菌と呼ばれるもので、極めて多種多様だ。水田の土1グラム中に存在する細菌の数は、数十億ともいわれ、中には様々な従属栄養細菌、光合成細菌、化学合成細菌が含まれる。地表近くに好気性細菌、下層に嫌気性細菌が多く生息している。
細菌は有機物を分解するだけでなく、新たに有機物を合成したり、空気中の窒素を固定したりする。生物の体をつくるたんぱく質やDNAのような核酸においても、窒素は重要な構成要素だが、植物も生育のために窒素を必要とする。しかし、空気中に含まれる分子状の窒素をそのまま取り込んで、利用することができない。植物が窒素を利用するには、窒素固定細菌によってアンモニアに還元するか、さらに硝化細菌によってアンモニアを亜硝酸や硝酸へと酸化しなければならない。
窒素固定細菌は、分子状の窒素をアンモニアに還元するニトロゲナーゼという酵素を備えている。ニトロゲナーゼは、エネルギー物質・ATP(アデノシン三リン酸)と、電子を受け取るフェドレキシンのような物質の存在する状況下で、窒素還元反応を触媒する。窒素固定細菌の一種、リゾビウムこそ、大豆などマメ科植物の根に共生する「根粒菌」の別名。マメ科植物の根にリゾビウムが侵入してできるこぶ状の構造が根粒なのだ。直径数ミリメートルの根粒の中に、60万〜100万のリゾビウムがバクテロイドという集合体を形成している。根粒内には、哺乳類のヘモグロビンに似たレグヘモグロビンという物質が含まれ、これが酸素を吸収し、ニトロゲナーゼが働きやすい還元状態をつくる。
根粒菌は、このような窒素固定や硝化作用を通して、地球上の大気、海洋、陸地の間の窒素循環において重要な役割を果たしている。例えば、ダイコン、ジャガイモ、小麦などで見られる連作障害を防ぐため、大豆やクローバーなどのマメ科植物を連作に加えることが有効なのは、土の中の窒素分を自然に増やし、生産性をさらに高めるからである。
参考文献:都留信也『土のある惑星』(岩波書店)
細菌は一般的に土壌細菌と呼ばれるもので、極めて多種多様だ。水田の土1グラム中に存在する細菌の数は、数十億ともいわれ、中には様々な従属栄養細菌、光合成細菌、化学合成細菌が含まれる。地表近くに好気性細菌、下層に嫌気性細菌が多く生息している。
細菌は有機物を分解するだけでなく、新たに有機物を合成したり、空気中の窒素を固定したりする。生物の体をつくるたんぱく質やDNAのような核酸においても、窒素は重要な構成要素だが、植物も生育のために窒素を必要とする。しかし、空気中に含まれる分子状の窒素をそのまま取り込んで、利用することができない。植物が窒素を利用するには、窒素固定細菌によってアンモニアに還元するか、さらに硝化細菌によってアンモニアを亜硝酸や硝酸へと酸化しなければならない。
窒素固定細菌は、分子状の窒素をアンモニアに還元するニトロゲナーゼという酵素を備えている。ニトロゲナーゼは、エネルギー物質・ATP(アデノシン三リン酸)と、電子を受け取るフェドレキシンのような物質の存在する状況下で、窒素還元反応を触媒する。窒素固定細菌の一種、リゾビウムこそ、大豆などマメ科植物の根に共生する「根粒菌」の別名。マメ科植物の根にリゾビウムが侵入してできるこぶ状の構造が根粒なのだ。直径数ミリメートルの根粒の中に、60万〜100万のリゾビウムがバクテロイドという集合体を形成している。根粒内には、哺乳類のヘモグロビンに似たレグヘモグロビンという物質が含まれ、これが酸素を吸収し、ニトロゲナーゼが働きやすい還元状態をつくる。
根粒菌は、このような窒素固定や硝化作用を通して、地球上の大気、海洋、陸地の間の窒素循環において重要な役割を果たしている。例えば、ダイコン、ジャガイモ、小麦などで見られる連作障害を防ぐため、大豆やクローバーなどのマメ科植物を連作に加えることが有効なのは、土の中の窒素分を自然に増やし、生産性をさらに高めるからである。
参考文献:都留信也『土のある惑星』(岩波書店)
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