大豆の浸漬
豆腐の製造工程において、大豆を浸漬する目的は、磨砕工程で熱変性をさせないために豆を軟らかくすることだ。浸漬の程度によって、煮沸の結果が異なり、豆乳の品質も変わってくる。浸漬不足の場合、煮沸で煮込みを強めても十分煮えず、豆腐が柔らかくなって青臭さが残る。浸漬過剰の場合は煮込み過ぎとなり、凝固反応が速く、離水が多くなり、弾力のないもろい豆腐になる。つまり、浸漬工程で吸水倍率を一定にすることが、安定した豆腐製造の第一歩となる重要事項なのだ。
生呉と豆乳の濃度を比較して、豆乳濃度の方が1%以上高いのが適正浸漬だといわれる。濃度に差がない場合は漬かり過ぎ、濃度差が大きい場合は浸漬不足の傾向となる。豆乳が生呉より低い場合、豆乳中のたんぱく質が結合して不溶性となっており、浸漬で大豆が酸敗するなどの異常を示す。この時、加水量を減少させても、豆乳のBrix濃度は上がらない。磨砕の工程でリポキシゲナーゼ酵素が大豆中の油を酸化させ、(良くも悪くも)豆腐特有の青臭さを作る。リポキシゲナーゼ酵素の活性度を高めるため、浸漬槽で多少泡立つ程度ならば、豆乳と豆腐に豆腐らしい風味を与える。
大豆の浸漬時間は、大豆の品質と水温(水道水は気温に影響される)を考慮した上、目指す商品の品質によって決定される。当然、(夏場など)水温が高くなれば浸漬時間が短くなり、(冬場など)水温が低ければ時間が長くなる。製造現場の経験では、前日比気温が3度C以上変化すると、製造が乱れる現象が生じるという。
大豆の浸漬状態を目視確認することも重要だ。大豆を半分に割り、浸漬状態を判断する。充填豆腐は水さらしのない分、浸漬で不快成分を溶出させる目的で、多少漬け過ぎにしてもよい。冷却した豆乳に凝固剤を混合し、その後で加熱凝固を行うために凝固反応の問題がなく、しっかりした物性の豆腐となる。木綿豆腐や絹ごし豆腐の場合、完全吸水の直前程度が適正と判断される。漬け過ぎによる弾力低下を防止するためだ。油揚げは求める製品の品質によって、浸漬を控えたり、多少漬け過ぎにしたりする場合があり、製造工場により判断が大きく異なる。例えば、歩留まりよりも製品が伸びることを重視するならば、多少漬け過ぎで煮込みを甘くして、生地の気泡の抱き込みを多くするといった具合に。
参考文献:青山隆『豆腐入門(食品知識ミニブックスシリーズ)』(日本食糧新聞社)
生呉と豆乳の濃度を比較して、豆乳濃度の方が1%以上高いのが適正浸漬だといわれる。濃度に差がない場合は漬かり過ぎ、濃度差が大きい場合は浸漬不足の傾向となる。豆乳が生呉より低い場合、豆乳中のたんぱく質が結合して不溶性となっており、浸漬で大豆が酸敗するなどの異常を示す。この時、加水量を減少させても、豆乳のBrix濃度は上がらない。磨砕の工程でリポキシゲナーゼ酵素が大豆中の油を酸化させ、(良くも悪くも)豆腐特有の青臭さを作る。リポキシゲナーゼ酵素の活性度を高めるため、浸漬槽で多少泡立つ程度ならば、豆乳と豆腐に豆腐らしい風味を与える。
大豆の浸漬時間は、大豆の品質と水温(水道水は気温に影響される)を考慮した上、目指す商品の品質によって決定される。当然、(夏場など)水温が高くなれば浸漬時間が短くなり、(冬場など)水温が低ければ時間が長くなる。製造現場の経験では、前日比気温が3度C以上変化すると、製造が乱れる現象が生じるという。
大豆の浸漬状態を目視確認することも重要だ。大豆を半分に割り、浸漬状態を判断する。充填豆腐は水さらしのない分、浸漬で不快成分を溶出させる目的で、多少漬け過ぎにしてもよい。冷却した豆乳に凝固剤を混合し、その後で加熱凝固を行うために凝固反応の問題がなく、しっかりした物性の豆腐となる。木綿豆腐や絹ごし豆腐の場合、完全吸水の直前程度が適正と判断される。漬け過ぎによる弾力低下を防止するためだ。油揚げは求める製品の品質によって、浸漬を控えたり、多少漬け過ぎにしたりする場合があり、製造工場により判断が大きく異なる。例えば、歩留まりよりも製品が伸びることを重視するならば、多少漬け過ぎで煮込みを甘くして、生地の気泡の抱き込みを多くするといった具合に。
参考文献:青山隆『豆腐入門(食品知識ミニブックスシリーズ)』(日本食糧新聞社)
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