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折々の豆腐(9)

短歌誌、具体的には『角川 短歌』から、
豆腐、納豆、こんにゃくなどを詠った歌を拾い上げていこう
という思い付きにしても……『角川 短歌 6月号 2018』の
特集が「身近な素材 いまこそ厨(くりや)歌」だっただけに、
もうしばらくだけ、続きます。半年以上も昔のネタです。
       ☆
前田夕暮
寒の空星の光はすみとほり豆腐凍らす草屋根のうへに
       ☆
田谷鋭『乳鏡』
陽の凪ぎの中を過(よ)ぎりつ豆腐屋の油に煮ゆる音にぎはへり
       ☆
声に出して読み上げてみてわかるように、極めて平易な2首。
上の一首は、凍り豆腐、凍み豆腐の伝統的な作り方の風景です。
(「凍り豆腐」の方が、JISにおける正式名称となります)
夜間は寒気に晒すなどして、凍結と乾燥を繰り返していました。
下の一首もまた、昔ながらの豆腐屋さんの在る光景を
描いているようですが、油の音が聞こえてくるところで、
厚揚げ(生揚げ)なのか、油揚げ(薄揚げ)なのか、
非常に気に懸かります。「油に煮ゆる」という語の斡旋から、
油の爆ぜる感じが抑えめで、全体にたっぷりとした身を想像し、
厚揚げのように受け止めるのですが、如何なものでしょう? 
ただ、そうなると、歌の上での効果とは別に、「にぎはへる」
という語が、事実としては、よくわからなくなるのですね。
店の前を通り過ぎただけの人は、ましてや歌人は、
厚揚げだろうが、薄揚げだろうが、気にしないのでしょうか? 
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テーマ : 短歌
ジャンル : 小説・文学

tag : 短歌豆腐

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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