若狭〜丹波のかて飯

豆、小豆、麦やお芋とへだつれぞ 混ぜれば同じかて飯の種」という江戸の狂歌がある。豆とはもちろん大豆のこと。“かて飯”とは、少ないコメを食いのばすため、様々な雑穀や野菜、山菜や海藻などを混ぜて炊いたご飯。現代の炊き込みご飯、混ぜご飯のことであり、広義に取れば、麦飯や粟飯もかて飯だろう。大豆雑学(201110)

かて飯は、地域に根ざした伝統食だから、地方によって各種各様のかて飯が見られる。コメの代わりに地域にある食材を使用する訳だから、自然と地域色豊かなレシピの出来上がり。かつては必要に迫られての貧乏飯であったかもしれないが、飽食の時代を過ぎ、地産地消の叫ばれる現代、かて飯は新たな魅力を放ち始めているようにも思われる。

かて飯に大豆が使用されるのは全国的か。奥村彪生氏の解説『聞き書ふるさとの家庭料理』などから、大豆(加工品)を用いたかて飯を拾い上げてみる。

例えば、信越地方から福井県の豆腐野菜のぼっかけ飯。「ぼっかけ」は福井の郷土料理のひとつ。炊きたてのご飯に熱々の汁を「ぶっかける」という意味の「ぼっかけ」が料理名に転じた。代表的な具材としては、ゴボウ、ニンジンなどの根菜に(名産品でもある)油揚げ、糸こんにゃくなど。削り節を使い、具材を軟かくなるまで煮込み、醤油、酒などで味を調える。ここに豆腐を足せば、豆腐野菜のぼっかけ飯になる。

福井県と一口に言っても、ローカル色は細かく分岐。大量に作り、結婚披露宴の最後に客へ供されるぼっかけがある。蕎麦皿に盛り付けて食するとか。今立町では「ぼっかけ豆腐(豆腐めし)」として親しまれ、報恩講の夜食に出され、丹生郡でも同じ「豆腐めし」が伝わる。食の国境は政治と無縁。近畿地方でも、兵庫県に同じ名の豆腐飯が存在する。篠山市大山地区では「とふめし」と呼ぶ。古くは寺院での「お講」の際に振る舞われてきたという在り方も福井と同様。今も結婚式、彼岸、葬式、運動会など、大勢の人が集まる時には食卓に並ぶという。

とふめしのレシピは、堅めの木綿豆腐を茹でてつぶし、ゴボウ、ニンジン、油揚げを細かく刻む。だしなどを加え、醤油で炒めたものを炊きたてのご飯に載せ、十分ほど蒸らした後、混ぜ合わせる。具材を載せた後で混ぜるなど、調理法の細部に土地柄の違いが出ているが、根っこは同じだろう。篠山と言えば、黒豆の産地。京都府の黒豆のおにぎりも広い意味ではかて飯になるか。福井、兵庫、京都と呼べば、少し縁遠く感じるが、若狭、丹波と呼べば、意外に身近ではないだろうか。

参考文献:『食の検定 食農1級公式テキストブック』(食の検定協会)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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