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忠臣蔵メモ

国立文楽劇場」開場35周年記念として、
『仮名手本忠臣蔵』の通し公演が行われると知った時、
忠臣蔵の基本は押さえておかないといけないな
と、すぐさま思った次第です。正直、“義”やら何やら
武士道徳に対して胡散臭いものしか感じないし、
大河ドラマや時代小説からも目を背けてきたので、
もしかすると、「忠臣蔵」に関して、一般人以下の
理解しか持ち合わせていないような気もしていましたし。
“史実”としての「忠臣蔵」については、山本博文
『これが本当の「忠臣蔵」』がコンパクトにまとめられていて便利。
発表当時(1984)は、書評などにより、そのパラダイムだけは
了解したつもりになっていたものの、今回、きちんと通読してみた
丸谷才一『忠臣藏とは何か』では、梅原猛らの「御霊信仰」や、
藤森照信の建築論が奇跡的な邂逅を果たす構成に、うんうんと
唸らされてしまいました。現在では文楽から入っていくので、
物語自体への抵抗感が無くなっていますし、そもそも、武士の忠義も何も
無縁なところで議論が進むこともあって、非常に愉しかったのです。
       ☆
 大石内藏助に率ゐられた赤穂四十七士の事件を仮名で書いたやうにわかりやすく仕組んだもので、いろは歌のやうに哀れ深く、火難その他の災厄に対しては浅野内匠頭が先頭に立つたと伝へられる浅野の火消や、町火消のいろは組のやうに勇敢であり、土藏造りの家のやうに強く、武士の鑑である忠臣を叙しただけではなく、また町人の鑑とも言ふべき人間像を描いてゐて、その忠臣ないし理想的な人間たちの霊で作られた神の宿るところである藏にもたとへるべきこの芝居は、五十年忌を記念して彼らおよびその亡君の霊を祀つてゐるゆゑ、災厄のときにはそれらの霊がそこから出て来てわれわれを助けてくれる、まるでいろは藏や金藏のやうにめでたく、いろは茶屋のやうににぎやかで、色恋沙汰の見本集あるいは手本集のやうな芝居。

参考文献:山本博文『これが本当の「忠臣蔵」』(小学館101新書)
       丸谷才一『忠臣藏とは何か 』(講談社文芸文庫)
       ☆
ミハイル・バフチンを読み返さないといけないな、とか、
民俗学の折口信夫はよいとして、歌人として、釈迢空の本も
枕元に積んだままだったなあ、と思い出してみたり……。
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説文楽建築演劇

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引用する段になると、
丸谷才一の旧仮名遣いが結構煩雑です。
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たまに「考える人」、歴史探偵。
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