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『獄門島』の如来

二人の読書会」のテクストが、中島らも『こどもの一生』(4月)、
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(5月)と続いており、
或る種の連想法の働きで、6月は横溝正史だったりする訳です。
(どの作品が選ばれたかは、わかる人にはわかりますよねえ)
小学生時代から横溝正史、江戸川乱歩、森村誠一、大藪春彦
等の角川文庫を濫読して育ったぼくは、下手すると、純文学より
探偵小説趣味が骨身に染み付いているのだろうなあ……と
うら寂しく感じることも多いのですが(現在、角川 短歌」を購読
しているのは、妙な縁)、6月のテクストと併せて『獄門島』も再読。
往時は全く気にならなかった島に在る医王山・千光寺の本尊が
目に留まるようになっていました。“空飛ぶ如来”と違って、
千光寺の薬師如来は動きませんが、代わりに吊り鐘が歩く、と。
       ☆
 禅堂と本堂とは、まえにもいったとおり、わたり廊下でつながっている。その禅堂は横が三間、縦が六間の細長い建物で、東を向いて建っている。わたり廊下の突き当たりにある板戸をひらくと、中央に廊下が縦にはしっていて、左右に畳が一枚ずつ、横に並べて敷いてある。その畳一枚に一人ずつ、座禅を組むのだそうである。畳は右に十枚左に十枚と敷いてあるが、ちょうど五枚目のところがまた廊下になっていて、二つの廊下の交差点、つまり禅堂の中央に仏像が安置してある。医王山という山号からでもわかるとおりその仏像は薬師如来である。この横の廊下の左側が、禅堂の入り口になっていて、その外は庭になっており、そこにあの恐ろしい梅の木があるはずである。入り口の左右には、武者窓みたいな窓がずらりと並んでいた。

参考文献:横溝正史『獄門島』(角川文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説仏像

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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