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第2の大豆、タルウィー

「第2の大豆」として注目されるべき豆が、タルウィー(Lupinus mutabilis)。タルウィーはルーピンの一種。ルーピンは和名で「ノボリフジ(ルピナス)」と呼ばれるように、茎の先端に、藤に似た様々な色の花を上向きにつける。世界中で飼料や緑肥として栽培されているほか、観賞植物としても利用される。タルウィーは鮮やかな青紫色の花を咲かせ、アンデス山中のチチカカ湖のタキレ島には、薔薇色の花を咲かせるタルウィーもあるという。

タルウィーは、南米ベネズエラからチリ北部〜アルゼンチンにかけてのアンデス地域で、食用として利用されている。多いものでは、たんぱく質を50%(平均46%)、脂肪を24%(平均20%)も含むことから、貴重なたんぱく源であると同時に油脂源として、ジャガイモやトウモロコシを主食にするアンデス農民が古くからタルウィーを利用してきた。

たんぱく質のアミノ酸含有量は大豆に近く、脂肪の含有量は落花生に近い。リノレン酸など不飽和脂肪酸も多い。ただし油脂の多いタルウィーはたんぱく質が少なくなる傾向があり、たんぱく質と脂肪の上限を兼ね備えた豆は少ないため、好みと適応性によって農民は自分で植えるタルウィーを選抜している。莢は高く突き出した花茎の先にまとまってつくので、収穫は容易。莢の長さは5〜10センチメートル、幅2センチメートルで平たく、直径0.6〜1.0センチメートルの卵形の種が2〜6個入っている。

熟すると莢が開いて種を落とすルーピンが多い中、タルウィーの莢は登熟しても開かない。栄養に富む豆を確実に収穫できる。現地では大抵、スープやシチューの具として使い(皮が軟らかいので、すぐに煮える)、スナックとして食べる。これほど有用な作物、タルウィーがアンデス以外の地域に広がらなかった理由としては、種が苦く、そのままでは食べられなかったことが挙げられそうだ。しかし、タルウィーの苦味は水溶性アルカロイド。数日流水にさらすことで除去でき、近年は数時間で苦味を取り除く機械も開発され、苦くない種を作る品種も改良されているという。

参考文献:吉田よし子『マメな豆の話』(平凡社新書)
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