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キャバレー頌

「国立国際美術館」からの連想で、忘れないうちに引用をメモ――。
世紀末ウィーンの芸術においても、“建築”は大きな地歩を占めているのです。
       ☆
古来、典型的な総合芸術は建築であった。中世のゴシックの大聖堂は建築、絵画、装飾美術(祭具や燭台、ステンドグラスなど)が渾然一体となった壮大な総合芸術であったが、オットー・ワグナーの弟子であったホフマンにとっても、建築とは外観と内部、全体と部分、様式と機能(目的)とが調和した総合芸術を意味していた。
       ☆
1907年オープンのキャバレー・フレーダーマウスこうもり)もウィーン工房による総合芸術の傑作といえるが、バーと寄席、小劇場を兼ねたキャバレー自体、世紀末ウィーンの典型的な現象であった。これ以外にも、当時のウィーンには「マックス&モーリッツ」、「ヴェネツィアの夜」など、都市の規模、人口などを考えればかなりの数のキャバレーが存在していた。それは単なる娯楽施設というより、“キャバレー漬け”だったアルテンブルクを初めとする文学者、芸術家の書斎、アトリエの延長であり、ウィーン文化の担い手の一つでもあった。若いココシュカの詩画集「夢見る少年たち」を初めて朗読し、詩人としてのデビューを飾ったのも「フレーダーマウス」であった。
       ☆
キャバレーを侮ることなかれ。何故かしら、永井荷風を読み返したくなること、しきり。

参考文献:千足伸行『もっと知りたい世紀末ウィーンの美術』(東京美術)
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テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術建築小説

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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