サチユタカA1号

作物研究所の「くろっぷニュース47号」(2013年3月)に、同研究所・畑作物研究領域の羽鹿牧太氏が、サチユタカに難裂莢性を導入した大豆新品種「サチユタカA1号」に関する成果を報告している。サチユタカは、近畿・中国地方を中心に広く栽培され、耐倒伏性・収量性に優れ、たんぱく質含有量が高い豆腐用の優良品種だが、裂莢しやすいという問題点を抱えていた。収穫期に刈り遅れると、立毛中に乾燥して次々と莢が弾ける“自然脱粒”や、コンバイン収穫の際に刈り取り部が触れて脱粒する“頭部損失”が多く、実際の収穫量が低くなってしまう。

そこで、サチユタカの欠点を補う、莢が弾けにくい特性“難裂莢性”を付与せんと、DNAマーカーと戻し交配によってサチユタカに難裂莢性を導入したサチユタカA1号が育成された。具体的には、サチユタカと難裂莢性を持つハヤヒカリを交配した後代から、難裂莢性を持つ個体をDNAマーカーで選抜し、再度、サチユタカに戻し交配することを5回繰り返して育成。サチユタカA1号は、平成24年(2012)8月に品種登録出願も行われている。

サチユタカA1号の特徴として、避莢性が改善されている以外は、戻し交雑親のサチユタカと農業特性・品質特性はほぼ同じ(表参照)。短茎で耐倒伏性が強いところに、難裂莢性が加わったので、刈り遅れても裂莢の心配が少なく、栽培しやすい。たんぱく質含有量が高いので、サチユタカ同様、豆腐加工に向いている。一方で、サチユタカと同じくモザイク病には弱いことから、その媒介虫であるアブラムシ防除を栽培時には徹底する必要がある。栽培適地は関東地方南部以南。耐倒伏性が強いため、密植栽培にも向いているという。

サチユタカとほぼ同じ生育を示すので、サチユタカ普及域では同品種を置き換えるだけで、脱粒が少なくなって実質的な収量増が期待される。今後は、裂莢性のためにサチユタカの導入を見送ってきた他の地域でも導入されるだろう。現在はサチユタカに準じた弱点、モザイク病抵抗性や病虫害抵抗性などに対して、DNAマーカーと戻し交配による強化が図られている。将来的には、サチユタカの欠点をすべて改善した新品種を開発、西日本の大豆生産の安定化に寄与されるだろう。



参考文献:近畿地域大豆研究会ニュース2013年第1号(2013年6月28日)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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