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JOKER(ネタばれ)

10月8日(火)、「TOHOシネマズ梅田」本館に赴き、
Todd Phillips 監督『JOKER』を鑑賞してきました。
アメコミ原作だとか、単なるジャンル映画の域を超えた
心が打ち震える、ずっしりと来る 良い映画作品です。



ジャック・ネイピアではありませんが、Joaquin Phoenix
演じる今回のジョーカーにも、アーサー・フレックという本名が
あります。時代設定はおそらく1980年代初頭と思われまして、
貧富の二極化(ここでも貧困問題!)が進んだゴッサム・シティは
そのまま、現代に通じて、ひりひりとした痛みを直接的に伝えます。
“病気”のせいで、(不適切な状況であっても笑い出してしまう)
障害を抱えたアーサーは、老いた母を介護しつつ、ピエロとして
働いているのですが、理不尽に次々と降りかかる社会的な暴力に晒され、
公的な援助も打ち切られ、心身ともに追い詰められていった挙げ句、
二重の“父親殺し”(+母親殺し)に至り、ジョーカーとして再生。
暴動の起きる街の紅蓮の炎の中、救世主として崇め奉られる
ジョーカーの姿は現実だったのか、妄想なのか? ……すっきりと
爽快な気分で快哉を上げられる訳ではなく、このままでいいのか? 
それでいいんだよ!と、観客に決断を迫り続けてくる122分間でしょう。
ブルース・ウェイン(=バットマン)の両親を殺害したのがジョーカー
という設定は、Tim Burton といわれていますが、トッド・フィリップス
版のジョーカーでは、ジョーカーとブルースが異母兄弟という設定まで
ぶち込まれてきて、心拍数が上がりましたよ(結局は、DV母の妄執
という落ちに持っていかれましたけどね)。アーサーの憧れるコメディアン、
マレー・フランクリンを Robert De Niro が演じていることから、
『タクシー・ドライバー』(1976)や『キング・オブ・コメディ』(1982)への
オマージュが、事あるごとに挟み込まれ、今観ているものは映画だよ
と、一種の気付け薬の役目を果たしていたのだな、と後で感じました。
個人的には、と或るシーンの構図が、フェルメールだったことを鮮明に記憶。
       ☆
従来のジョーカーの造形において、“笑い”が(化学薬品工場など)外部から来た
身体的条件から生じざるを得なかったとする設定に対して、今回のジョーカーの
笑いは、幼少期の育ち~環境(内在化された社会)から産み落とされたものとした
点が画期的でした。楽しいから笑う、とは限らないのです。どん底だからこそ笑う
といった事態もあり得るのです。たとえ、他人から「気持ち悪い」と言われようが。
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テーマ : 洋画
ジャンル : 映画

tag : 映画美術

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暫定

『ジョーカー』のことは書き切れないし、
語り尽くせない気もするの、当分。
抱え込めないし、現実にそのまま
スライドできるほど、ナイーヴでもないし。
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たまに「考える人」、歴史探偵。
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