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重吾メモ(2)

 夕食は芝生で行われた。四角い鉄の板で肉やネギをいためながら食べる、ジンギスカン料理である。もちろん浅香は食べたのは初めてであった。内海も弥吉も酒で赤くなっている。内海は食事の席で、秘書になってくれ、と頼み始めた。
       ☆
黒岩重吾の短編「虹の十字架」の初出は「小説中央公論」1958年8月号。
当時は、まだジンギスカン)が一般的でなかった、ジンギスカンの型が
成立していなかった、という事情が読み取れます。大阪市・日本橋に在る
羊肉串店故郷」で食べられるような“烤羊肉”が原型で、中央部が膨らんだ
ジンギスカン鍋の普及は、第二次世界大戦後に始まります。文中、「鍋」
ではなく、「ジンギスカン料理」と表記されているのがポイント。串焼きから
鍋へ至る過渡期の形態が、「四角い鉄の板」なのでしょう。関西人的には、
鉄板というだけで(お好み焼き同様)、鉄工所~戦後日本への連想が働きます。
       ☆
「今日刑事さん、部長さんのことについて、変な質問しましたわ」
 と茎子はいった。国本ははっとしてあたりを窺った。幸いあたりに社の人間はいないようであった。国本は慌てて、停車した車に茎子を乗せた。国本は茎子を中之島のかき船に連れて行った。仲居が去ると部屋の中では二人だけである。

       ☆
大阪市・中之島の淀屋橋辺りに、まだ1軒(?)だけ、牡蠣船が残っている
訳でして、行けるうちに行っておかなければ……と思いつつ、なかなか、
時間が取れないし、いろいろと気後れする条件も揃っていましてねえ。
しかし、ネタとしても、万全を期して訪問したいものです、「かき広」。

参考文献:黒岩重吾『飛田ホテル』(ちくま文庫)
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テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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