つと豆腐

「藁苞納豆」などの言葉に残っている「(つと)」とは、「わらなどを束ねて物を包んだもの」。会津の郷土料理として有名な「つと豆腐」は、まさに藁苞に包まれた豆腐。藁苞をほどきながら納豆が現れるかと思いきや、豆腐が出てくることになる。つと豆腐は、福島県(西部)だけでなく、茨城県でも郷土料理として扱われている。

「県央畑作地帯」と呼ばれる茨城県中央部、東西にまたがる関東ローム層の畑作地帯では、陸稲、大麦、小麦、大豆、甘藷などが作られ、昔から納豆、豆腐、煮豆、味噌などが基本食として受け継がれてきた。従来、納豆の消費量が多い福島、茨城県のことだから、納豆を包む藁苞の中に豆腐を入れてみれば……という趣向も、容易に発想できたのではないかと思われる。

郷土料理、地域に密着した家庭料理の素材だけに、その土地、その作り手によって、レシピは細かい点で千差万別。要諦は、出来上がった豆腐に藁の跡が付いていることだろうか。 福島県のホームページで紹介されている作り方を見てみる。水気を切った普通の豆腐を細長く切り、藁で包む。それを塩の入った湯で約20分間煮て、水にさらすと完成だ。ホームページでは、かつて柔らかい豆腐を運ぶ時に豆腐を藁苞に入れており、たまたま藁苞に包んだまま煮てしまったのが、つと豆腐誕生のきっかけだという説が紹介されている。普通の豆腐よりも日持ちが良いのが特徴。藁の風味に加え、煮くずれしにくく、味が染み込みやすいので、「煮染め」料理などには欠かせないという。

茨城県での作り方の一例を見ると、まず、洗い桶くらいの桶に豆腐を入れ、手で砕く。2つかみくらいの藁を真ん中から折り曲げ、端を縛って藁苞を拵える。砕いた豆腐を1丁分くらい、藁苞に入れ、こぼれないように藁で巻く。大釜に湯を煮立てて、藁苞をそっくり湯につかるよう立てて入れる。さらにしばらく煮た後、水を張った手桶に煮た藁苞を差し込む。豆腐は水の中で冷めると固まる。藁苞からそっと外すと、紡錘形のつつこの形で藁の筋の付いた豆腐になる。そのつと豆腐を砂糖と醤油で味を付けて煮こむ。味付けを終えたつと豆腐を輪切りにし、皿に盛り付けて出来上がり。

以上の2例だけでも、豆腐をそのまま藁苞に包むか、あるいは砕いてから包むのか──また、シンプルに煮立てたものを他の料理の素材に使うか、あるいは最初から濃い味付けを行い、奥に潜む淡白な味わいや滑らかな舌触りを楽しむかなど、つと豆腐のヴァリエーション豊かな活用方法が提示されている。
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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