柳茶屋

奈良市街(東大寺~興福寺周辺)で、人力車の車夫を
していた時代がありまして、周辺のガイドくらいは出来る
のですけれど、当時、お茶にしようか?という頃合いには
「柳茶屋」か、「塔の茶屋」を紹介させていただいたもの
です。前者の名物が“茶飯”で、後者が“茶粥”でした。
臨時休館となっていた「奈良国立博物館」から引き揚げ、
「興福寺」へ入ると、本坊隣に懐かしくも、「柳茶屋」が
建っていました。流石にホテルでのランチ直後ですから、
奈良茶飯は遠慮しまして、風趣あふれるぜんざい、
わらび餅を注文。明治35年(1902)創業の老舗です。
客は誰もおらず、通された和室を独り占めした状態で、
床の間の掛軸や中庭を眺めつつ、どこかの田舎屋敷を
個人的に訪問しているような錯覚を覚えそうになります。
照明をわざと抑えているのか、屋外も曇り空とあって、
玄関口から既に暗く、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を念仏のように唱えたくもなりました。
すぐ近くに在ったはずの「塔の茶屋」は、2016年秋に興福寺境内から移転しています。
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