カンちゃんの豆腐
「宝島」も老いたな、と愕然とさせられたプロレス本――。
「シュートマッチ」と銘打って、“因縁”の対談10本が収録
されていたはずが、馴れ合いすら超えて、むしろ、仲良し。
いや、それは美しきことで、責めるべき筋合いもないの
でしょうけれども。冒頭と末尾にターザン山本が出てきて
いる時点で、察するべきでしたね。新ネタらしい新ネタは
ほぼ皆無。ただ、往年の名レスラーの激変した姿にのみ、
インパクトを覚えました。ジョージ高野(1958~)、川田利明
(1963~)、安生洋二(1967~)、谷津嘉章(1956~)……
病気や生活や、何かとあるのでしょうが、時間は残酷です。
それはさて置き、キラー・カーン(1947~)の良い話。
☆
おふくろは、女手ひとつで俺たち兄弟3人を育ててくれたんだよ。豆腐を一丁買ってきて、4つに切って俺たちとおじいちゃんで分けて、おふくろは食べないの。子供の頃、おふくろに「なんで食べないの?」って聞いたら「お母さんは豆腐なんか食べたくないんだよ」って言ってね。それで何を食べてるのかと思ったら、畑から持ってきたキャベツを湯通しして酢醤油かけて、それをおかずにご飯食ってた。
そのおふくろに、俺は小遣いすらあげられなかったんだよ。借金しながら、ギリギリで店やってたからね。それでも1回、20万円持っておふくろに渡そうとしたんだけど、受け取らなかった。「子供が大事なんだから、うちは薬屋やってなんとかなるんだから」って。
参考文献:アントニオ猪木+長州力+前田日明+天龍源一郎ほか
『シュートマッチ プロレス「因縁」対談10番勝負』(宝島社)
「シュートマッチ」と銘打って、“因縁”の対談10本が収録
されていたはずが、馴れ合いすら超えて、むしろ、仲良し。
いや、それは美しきことで、責めるべき筋合いもないの
でしょうけれども。冒頭と末尾にターザン山本が出てきて
いる時点で、察するべきでしたね。新ネタらしい新ネタは
ほぼ皆無。ただ、往年の名レスラーの激変した姿にのみ、
インパクトを覚えました。ジョージ高野(1958~)、川田利明
(1963~)、安生洋二(1967~)、谷津嘉章(1956~)……
病気や生活や、何かとあるのでしょうが、時間は残酷です。
それはさて置き、キラー・カーン(1947~)の良い話。
☆
おふくろは、女手ひとつで俺たち兄弟3人を育ててくれたんだよ。豆腐を一丁買ってきて、4つに切って俺たちとおじいちゃんで分けて、おふくろは食べないの。子供の頃、おふくろに「なんで食べないの?」って聞いたら「お母さんは豆腐なんか食べたくないんだよ」って言ってね。それで何を食べてるのかと思ったら、畑から持ってきたキャベツを湯通しして酢醤油かけて、それをおかずにご飯食ってた。
そのおふくろに、俺は小遣いすらあげられなかったんだよ。借金しながら、ギリギリで店やってたからね。それでも1回、20万円持っておふくろに渡そうとしたんだけど、受け取らなかった。「子供が大事なんだから、うちは薬屋やってなんとかなるんだから」って。
参考文献:アントニオ猪木+長州力+前田日明+天龍源一郎ほか
『シュートマッチ プロレス「因縁」対談10番勝負』(宝島社)
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