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高野豆腐の煮ふくめ方、和え衣の作り方

まもなく冬至を迎えるが、正月を過ぎて旧正月にかかる時分になると、昔の主婦は野菜高で頭を痛めたらしい。ビニール栽培や品種改良などにより往時ほどでないにせよ、現在も新鮮な野菜が出回りにくい時季ではある。

そこで「大豆100粒運動」の提唱者、辰巳芳子さんの母堂、故辰巳浜子氏(1904〜1977年)は、乾物類の組み合わせを勧めていた。乾物類の上手なコンビネーションによって、バラエティーに富んだ食卓を演出し、冬の野菜不足や野菜高騰をかこつことも少なくなるだろうとの主婦の知恵である。カンピョウやシイタケに続けて、高野豆腐のもどし方を次のようにレクチャーしている。

高野豆腐は、一昔前にはやわらかくもどすことが一苦労で、それがいやさに特別扱いを受けていましたが、近年はまことに都合よく、ただ熱湯につけるだけで、フワフワにやわらかくもどります。煮ふくめるには、やわらかくもどった高野豆腐の水分を完全に絞らなければなりません。二つに切って、じわりじわりと水を絞り出します。煮汁は、出汁に味醂と酒、砂糖、醤油、塩で味付けをすませて、水気のない高野豆腐を煮汁に浸けます。すると、一度に中の中まで煮汁がしみ込んでしまいます。それから弱火でことこと煮ふくめればよろしい。煮汁は吸込む分も勘定に入れて、たっぷり用意いたします

高野豆腐の煮ふくめ方と同様、素材の味の良しあし以上に料理人の手際の良さ、心栄えが問われる一品として、白あえが挙げられる。そこで辰巳浜子流、白あえの極意「和え衣の作り方」を見てみよう。

材料は豆腐半丁、白胡麻大匙すりきり二杯、味醂大匙二杯、砂糖大匙一〜二杯、醤油小匙半杯、化学調味料少々。豆腐は水をたっぷりにして、水から弱火でゆがき、中まで火が通ったとみたらすぐ清潔なふきんにとって、二枚の板の間に挟んで耳たぼくらいの固さまで水を絞ります。胡麻は砂やゴミを取り除き、香ばしく煎って、油が出て味噌になるまで摺り、豆腐を加えてさらによく摺り、調味料を順に加えます。摺るほどにねばりが出て、ニチャニチャと音がしてきます。摺りこぎが吸いつくくらいねばつきます」と、ここまで来たらば、大丈夫。

きっと、おいしいあえ衣ができたはずと辰巳浜子氏の太鼓判付き。懐かしい日本の味に思いをはせること請け合いだ。

参考文献:辰巳浜子『料理歳時記』(中公文庫)
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