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納豆で子豚も健康に

SPF豚の「SPF」は「Specific Pathogen Free」の略。無菌室内で帝王切開により誕生した子豚を、種豚として繁殖させたものが「特定疾患不在豚」、SPF豚だ。このSPF豚の生産に関する調査、研究と技術の普及を促進し、わが国の養豚振興に寄与することを目的にした「日本SPF豚研究会」では、会誌「All about SWINE」を発行。2008年9月に出された第33号に、茨城県農業総合センター稲敷地域農業改良普及センターの坂代江氏が「納豆が子豚の健康に及ぼす影響」を掲載している。納豆横丁(201106)

「納豆生産量全国第1位を誇り、県内に点在する60場以上の納豆工場から年間1万トン以上の廃棄納豆が処分されている」と考えられる茨城県において、プロバイオティクス食品のひとつ、納豆を哺乳子豚に投与し、子豚の健康に及ぼす影響について検討を行ったものの概要である。

供試豚はランドレース種初産母豚の哺乳子豚9腹91頭。供試納豆は、茨城県内の納豆生産工場より提供された廃棄納豆で、品質検査用に抜き取ったパックである。対照区では生後1〜7日齢の哺乳子豚に1日1回、1頭当たり1ミリリットルの蒸留水を経口投与。納豆区では同じく生後1〜7日齢の哺乳子豚に1日1回、1頭当たり1ミリリットルの納豆液を経口投与した。納豆液は、納豆をミキサーでペースト状にし、蒸留水で10倍に溶解したもの。基礎飼料は同一で、下痢発生状況、体重、糞便pH、糞便中細菌検査──の項目に分けて調査した。

その結果、納豆区の子豚は対照区と比べて、軟便や下痢の発生が少なく、その日数の割合でも対照区の3分の1以下。体重を見ると、納豆液投与を終えた1週齢から徐々に差が出始め、納豆区の子豚は対照区より良好に発育した。糞便pHにおいては、1週齢で対照区がややアルカリ性だったのに対して納豆区が中性。2週齢、3週齢はほぼ同等の値だが、4週齢では納豆区のpHが対照区より低い傾向が見られた。糞便中菌数比率を見ると、1〜2週齢では大差なかったが、3〜4週齢で納豆区の方が対照区の乳酸菌数比率を上回った。

以上の試験成績から、納豆を哺乳子豚へ投与することによって、その後の子豚の腸内環境を安定させ、下痢予防など、子豚の健康増進に効果があることが明らかとなった。さらに、腸内細菌のバランスが正常化することで、有害菌が産生するVFA(揮発性低級脂肪酸)が少なくなる。とあれば、肉豚へ納豆を投与することによって肉の臭味も改善される、排泄物の悪臭も低減される──など、子豚の健康増進効果以外にも様々な効果が期待される、と考察している。安全・安心を求める消費者ニーズに応えるために、養豚業においても、納豆が一役買う日は近いか。
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