堺の橋(1)

下車し、東口改札を出て振り向きますと、まだ古びた
観の無い駅ビルが目を引きます。地上7階建てでして、
平成9年(1997)12月3日の竣工。駅としては、堺市
最古ながらも、中心駅としての地位は保ち続けている
と言えるかしら。南海高野線・堺東駅の方が栄えて
見えますし、代表駅として扱われているように見える
にせよ、2つの“顔”があってもいいじゃない。堺市の
近世~近代を代表するエリアの玄関口が堺駅で、
古代(=百舌鳥古墳群)の玄関口が堺東駅――と
考えれば、すっきりとします。東口のロータリーの北
側に、平成12年(2000)7月オープンのショッピング
・センター「PLAT PLAT」が建ち、堺駅から
堺東駅を東西につなぐ筋が大小路(おおしょうじ)
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となります。その南に位置する東西の大通りが
フェニックス通り(=宿院通り)。堺駅の東口
ロータリーの中ほどに建っている高さ18mの
モニュメントも、「フェニックス・アーチ」という
名称でした。平成6年(1994)10月に設置され、
メキシコの造形作家・セバスティアンの制作。
☆
堺市民芸術文化ホール=「フェニーチェ堺」の
“fenice”もイタリア語のフェニックス……堺市
役所の壁面には、手塚治虫の「火の鳥」の
タペストリーが掛けられていましたし、不死鳥は
大坂夏の陣(1614)や第二次世界大戦などに
よって焦土と化すも、何度となく蘇ってきた堺
市の象徴なのであります。そんなフェニックスが
橋のデザインにも採用されていました。左上と
右2点の画像の「勇橋(いさみばし)」です。欄干の
中央に不死鳥の頭部と胴体を設えて、広げた
翼が両袂に向かって伸びていく格好。面白い
意匠だけれども、ロケーション的に、他の物件に目移りしてしまうのが、惜しいところ。
☆
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います。堺市内を流れる川、というか運河、
堀状の溝渠である内川と土居川が合流して
竪川となり、堺旧港に接続している訳ですが、
環濠都市としての名残ですねえ。合流地点
より北側が内川、南側が土居川と呼ばれて
おり、堺駅から「勇橋」を渡ると、すぐ左手
(東側)に架かっているのが「栄橋」でした。
赤い弧(金属板)が連続して欄干を飾って
いますが、補強するなど、実用的な意味合い
からでしょうか。日中、再観察すると、赤い
弧線に負けず、青い桁部分が鮮やかでして、
「鉄人28号」のカラーリングを連想しました。
土居川が堀(川)であると知れば、大阪市
内の東横堀川や道頓堀川に架かっている
橋と同類のように感じられ、親しみが一層
湧いてくるのです。橋は大切にしなければ。
参考記事:堺市 ― わたしたちの川 内川・土居川
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