文楽の声
安藤鶴夫(1908~1969)の「読む落語」、『わが落語鑑賞』を
読んでいますと、何とも懐かしい気分に浸り切ってしまい、それは
当然。ぼくが昔、繰り返し、聴き惚れた桂文楽(8代目)の口吻を
書き写した物だもの。いや、口承文芸の文字化は至難の業だから、
8代目のみならず、安藤鶴夫もまた偉いのよねえ。今さら、言うまでも
ないことだけれど、(古典)落語に豆腐・納豆は切り離せない存在でして、
これまでと重複するネタもありますが、いくつか、抜き書きしますかな。
なお、8代目・桂文楽(1892~1971)は、来阪の折も、3代目・
三遊亭円馬(1882~1945)に稽古を付けられていたそうです。
☆
「心眼」
・(椀を手に取り、ひと口吸う)あッうまいなア、あうまいわけだ、なかはお魚だ、あたくしどもは奢ったとこで菜ッ葉か豆腐ぐらいのもんで、
「酢豆腐」
・朝の早い納豆屋のおじさんがまず立ち上がったのはいつものことにしても(安藤鶴夫のはしがき)
「寝床」
・あるいはまた昨日の朝十銭で四つの納豆に、葱の刻んだのまでまけていった体(てい)のお年ごろのお客様ばかりでは(安藤鶴夫のはしがき)
「明烏」
・(右の三本指で、左手の上から甘納豆をつまんでは、一つ一つ音を立てながらちょこちょこと口へ運ぶ。はじめに二粒、そして一粒、二つ、一つ、二つ……)あすこオあけたら甘納豆が出てきたからね。けど、朝の甘味は乙だよ、これで濃(こい)宇治かなんか入れてもらやア、思い置くことさらになしさ(二粒、音を立てて)
☆
“甘納豆”は、「納豆」(いわゆる、発酵食品)と別物だろうが、
と大昔、社長にどやされたっけ。8代目・文楽の「寝床」と、
安藤鶴夫と納豆屋との交流や豆腐料理の紹介は、別の機会に。
参考文献:安藤鶴夫『わが落語鑑賞』(河出文庫)
読んでいますと、何とも懐かしい気分に浸り切ってしまい、それは
当然。ぼくが昔、繰り返し、聴き惚れた桂文楽(8代目)の口吻を
書き写した物だもの。いや、口承文芸の文字化は至難の業だから、
8代目のみならず、安藤鶴夫もまた偉いのよねえ。今さら、言うまでも
ないことだけれど、(古典)落語に豆腐・納豆は切り離せない存在でして、
これまでと重複するネタもありますが、いくつか、抜き書きしますかな。
なお、8代目・桂文楽(1892~1971)は、来阪の折も、3代目・
三遊亭円馬(1882~1945)に稽古を付けられていたそうです。
☆
「心眼」
・(椀を手に取り、ひと口吸う)あッうまいなア、あうまいわけだ、なかはお魚だ、あたくしどもは奢ったとこで菜ッ葉か豆腐ぐらいのもんで、
「酢豆腐」
・朝の早い納豆屋のおじさんがまず立ち上がったのはいつものことにしても(安藤鶴夫のはしがき)
「寝床」
・あるいはまた昨日の朝十銭で四つの納豆に、葱の刻んだのまでまけていった体(てい)のお年ごろのお客様ばかりでは(安藤鶴夫のはしがき)
「明烏」
・(右の三本指で、左手の上から甘納豆をつまんでは、一つ一つ音を立てながらちょこちょこと口へ運ぶ。はじめに二粒、そして一粒、二つ、一つ、二つ……)あすこオあけたら甘納豆が出てきたからね。けど、朝の甘味は乙だよ、これで濃(こい)宇治かなんか入れてもらやア、思い置くことさらになしさ(二粒、音を立てて)
☆
“甘納豆”は、「納豆」(いわゆる、発酵食品)と別物だろうが、
と大昔、社長にどやされたっけ。8代目・文楽の「寝床」と、
安藤鶴夫と納豆屋との交流や豆腐料理の紹介は、別の機会に。
参考文献:安藤鶴夫『わが落語鑑賞』(河出文庫)
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