文楽の寝床
古典落語の「寝床」で、ぼくがいつも噴き出してしまうのは、
主の語る義太夫を不可避的に回避しようと、番頭の述べる
豆腐屋の言い訳です。桂文楽(8代目)バージョンは以下。
☆
「わかりました病人は仕方がありませんよ。(煙草に火をつけて)豆腐屋はどうしたい?」
「豆腐屋さんは法事でがんもどきと生揚げの誂え(あつら)を八束ばかり、明日の朝までに仕上げます。生揚げのほうは豆腐をしぼって揚げればよろしいのですが、がんもどきのほうは手数がかかると申すものが、入れるものがございますからで、蓮(はす)に牛蒡(ごぼう)に紫蘇(しそ)の実なんてものが入りまして、蓮のほうは細かく刻めばよろしいが、牛蒡のほうは皮剥きで剥くと厚く剥けますところから、庖丁で撫でるように皮を剥きます。紫蘇の実のほうはあるときはよろしいが、漬物屋から買ってきて、すぐに使いますと塩ッ辛くなるから、いったん水に漬けます。もっともあんまり漬けますと水っぽくなりますところから、そこで……」
「わかった、わかりました。あたしゃお前にがんもどきの講釈を訊いてるんじゃないんだ、小間物屋はどうした」
参考文献:安藤鶴夫『わが落語鑑賞』(河出文庫)
主の語る義太夫を不可避的に回避しようと、番頭の述べる
豆腐屋の言い訳です。桂文楽(8代目)バージョンは以下。
☆
「わかりました病人は仕方がありませんよ。(煙草に火をつけて)豆腐屋はどうしたい?」
「豆腐屋さんは法事でがんもどきと生揚げの誂え(あつら)を八束ばかり、明日の朝までに仕上げます。生揚げのほうは豆腐をしぼって揚げればよろしいのですが、がんもどきのほうは手数がかかると申すものが、入れるものがございますからで、蓮(はす)に牛蒡(ごぼう)に紫蘇(しそ)の実なんてものが入りまして、蓮のほうは細かく刻めばよろしいが、牛蒡のほうは皮剥きで剥くと厚く剥けますところから、庖丁で撫でるように皮を剥きます。紫蘇の実のほうはあるときはよろしいが、漬物屋から買ってきて、すぐに使いますと塩ッ辛くなるから、いったん水に漬けます。もっともあんまり漬けますと水っぽくなりますところから、そこで……」
「わかった、わかりました。あたしゃお前にがんもどきの講釈を訊いてるんじゃないんだ、小間物屋はどうした」
参考文献:安藤鶴夫『わが落語鑑賞』(河出文庫)
- 関連記事
-
- 中央通路の光 (2021/07/17)
- 本日初日 (2021/07/16)
- 文楽の寝床 (2021/07/15)
- 文楽の声 (2021/07/14)
- 福笑の声 (2021/07/13)
スポンサーサイト