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毛谷村飯椀油店

8月21日(土)、Osaka Metro・堺筋線で、扇町から
日本橋へ急ぎました。13時から「国立文楽劇場」にて
第24回「文楽素浄瑠璃の会」(第43回邦楽公演)が
開かれます。同会のチケットの入手がなかなか困難
でして、2年ぶりの参加。会場はほぼ満席で、奇妙な
熱気にうなされそうでした。みんな、娯楽に飢えている
のでしょうか。「彦山権現誓助剣」毛谷村の段は、
竹本千歳太夫と豊澤富助、「新版歌祭文」油屋
飯椀の段は豊竹咲太夫と鶴澤燕三、「女殺油地獄
豊島屋油店の段は竹本織太夫と鶴澤清志郎。太夫と
三味線弾きが、いつもの床ではなく、舞台中央に座を
占めます。人形がいないので、油断をしていると登場
人物がわからなくなるので、詞章の一つひとつに耳を
澄まします。毛谷村の段は、以前、観劇しているので、
記憶を掘り起こしつつ……やっぱり、お園がデレる
くだりが愉快で、山賊に斬られた家来について、「何の
家来の一人や二人、どうなとしたがよいわいな」の
豹変ぶりに噴き出します。「新版歌祭文」は野崎村の
段ばかりで、油屋飯椀の段は初めて聴きました。
油屋お勝の切れ者ぶりに舌を巻き、だはの勘六
もどり(=ベビーフェイス・ターン)に快哉を上げます。
深刻な場面こそ、チャリが際立つという構成の段。
燕三の三味線の“緊張と緩和”が心地良く。豊島屋
油店の段は、演目自体の派手さ、面白さは保証付き
だから、逆に、太夫はしんどいか。人形だから、何を
考えているのかよくわからない与兵衛の恐ろしさが、
クローズ・アップされる訳で、太夫の語りだけだと、
お吉と3人の娘や、与兵衛の(義)父・母らの親子の
“情”が前面に出て来るように思えます。殺し場では、
クールに淡々と、間の活きた“沈黙”を聴きたいもの。
翻ってみるに、人形ほど、沈黙を語るに適したメディア
(=媒体)は他に無し。(どちらが上とか下とかでなく)
人形は、太夫の沈黙を補完する存在、と言えそうです。
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テーマ : 伝統芸能
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 文楽

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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
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(自称)。
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