逆櫓の松の謎

豊中市の「西福寺」が心残りでしたけれど、足を向ける
時間的余裕がありません。「マイティ・ルゥ」で、チキン・
カレーを食している際、ママから休業日が火曜日に変更
されると聞かされました。「国立文楽劇場」に向かい、
14時からの「錦秋文楽公演」第2部の開演を待ちます。
第2部は、「ひらかな盛衰記」大津宿屋の段/笹引の
段/松右衛門内の段/逆櫓の段――と、全5段のうち、
一段目から三段目までです(第3部が四段目)。外題の
角書に「逆櫓松(さかろのまつ)/矢箙(えびらの)梅」とある
ように、「ひらかな盛衰記」は、木曽義仲の遺臣・樋口
次郎兼光と、梶原源太景季のWキャスト。三段目は
船頭・松右衛門(実は樋口次郎兼光)が主役です。人形役割は吉田玉男。畠山庄司
重忠を吉田玉志が遣っていました。腰元お筆は豊松清十郎。また、大津宿屋の段は
豊竹靖太夫と野澤錦糸。靖太夫の喉のコンディションが少し気になりました。笹引の
段が豊竹咲太夫と鶴澤燕三、松右衛門内の段の奥が豊竹呂太夫と鶴澤清介――
好きな太夫や三味線が増えると、筋立て以外でも十分に愉しめます。人形浄瑠璃
文楽の詞章は、そもそも、語ることが出発点にあり、人形の所作を描写したものでは
ないのですね。人形は太夫の語りの補足説明に過ぎなかったという事実が、徐々に
染みてきます。視覚ではなく、聴覚からか……しかし、ギリシア悲劇の核心もコロス
(合唱隊)にあったことを思い合わせると……。
☆
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松右衛門や船頭・権四郎の住まいが、難波潟・
福島の地であることに、大阪人としては刺激
されるでしょう。現在も、「逆櫓乃松址」(大阪市
福島区福島2丁目2−7)が残りますけれども、
源義経と梶原景時が船に逆櫓を取り付けるか
どうかで、論争を行った場所とされます。それと、
逆櫓の段で、松右衛門が登って物見を行った
松との関係がよくわからなくて、困りましたよ。
五段目で回収されるのでしょうか? 仇である
義経に近付くため、逆櫓の術を習得した樋口
兼光でしょうに、義経は逆櫓は不要と主張して
いた訳ですよね。どういうことなの?と混乱中。
☆
第2部の終演は17時過ぎで、もう日も暮れて
いました。Osaka Metro・堺筋線で日本橋から
恵美須町へ移動し、3番出口を出れば、眼前に
パープルの通天閣。引き寄せられるように南下
して、脚下に位置する「ドレミ」(大阪市浪速区
恵美須東1-18−8)に入り、“プリンめぐり”。
前々から利用したかったレトロな喫茶店です。
プリン・ローヤル(900円)と珈琲を賞味しました。
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