距離と視覚

1月18日は、「太融寺」の“初観音（本尊御開帳）”。
秘仏の本尊「木造千手観音菩薩立像」を拝観できます。
内拝する余裕は無かったのですが、外陣からファースト
・コンタクト。本殿前の大香炉に線香を立てていたところ、
碌に火も点けられない不調法者に、マッチを持ってきて
いただきましたよ。「大阪第一生命ビルディング」から
「ハービスENT」～「ハービスOSAKA」を経巡って、
パブリック・アート作品の復習も行い、近々に迫っている
まち歩きに備えあれば、憂い無し。阪神・大阪梅田駅へ。
　　　　　　　☆
随分と間が開きましたが、岩屋の「兵庫県立美術館」へ
赴きました。「岩屋肉劇場」に入り、昼食を取るのです。
体感にも風は冷たく、粉雪が舞い、「美かえる」は萎んで
いました。オランダの「ライデン国立古代博物館」所蔵、
約250点のコレクションが展示された「古代エジプト展」
――ライデンは、ヨーロッパ5大エジプト・コレクションに
数えられるそうです。しかし、数千年の歴史を誇る古代
エジプトの全体像を鑑みるに、無謀とも言える企画では
あります。茫として、自分が何に対峙しているのか、よく
わからなくなり、ミイラの内棺・外棺を前にして、ようやく
現実感を取り戻せるとは、一体、どういう事態なのだろう？　
カルトナージュ、シャブティ、カノプス（カノポス）壺……
といったタームは、ミイラ好きの基本語彙。展示の目玉と
なるミイラなのですけれど、全てが包帯でぐるぐる巻きの
状態。CTスキャンした映像が初公開！　と言われても、
どうにも盛り上がれないの（自分でスキャンできるならば、
ともかく）。自分の眼で見る権利（もとい、悦び）を奪われた
ようで、釈然とせず。この場合、スキャン映像がダウンロード
動画であっても大差ない訳でして、足を運んで実見する価値を
感じさせてほしいのよ。例えば、映画館で観る映画と、自宅の
PCやTV画面等で観る映画との違いが欲しいのです。画集で
見たから、美術館に行く必要が無いと言う阿呆になりたくはなし。