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こんにゃくでカテーテル実習

こんにゃくの予想をはるかに上回る利用法には事欠かない。当「こんにゃく横丁」でも兵器(2006年8月「風船爆弾」参照)、建築材(2011年3月「こんにゃくと平和」参照)など、こんにゃくの持つ様々な用途を伝えてきた。単なる健康食品、伝統食品にとどまらないこんにゃく八面六臂の活躍……今回は医療の現場でまた別な顔を見せる。カテーテル挿入の実習ができる訓練キットに、田舎こんにゃくが使用されているのだ。1月23日付「読売新聞」から要約しよう。

"体腔または膀胱・尿道・気管・食道・胃などに挿入して液体や内容の排出ないし薬液等の注入をはかるための管状の医療器具。ゴム・金属・プラスチックなどで作る"とされるカテーテル(『広辞苑』から引用)。このカテーテルを挿入する訓練キット「カテトレ」を開発したのは「鎌田スプリング」(本社=さいたま市)。針やガイドワイヤ5本、注射器、カテーテルなどがセットで、価格は1万2,600円。超音波スキャナーがあれば、研修医や医学生の実習に使える。

従来、カテーテル治療の一般的な実習に用いられてきたマネキン(人体模型)には、皮膚や血管やその周囲部分を模したシリコーン製パッドがはめ込まれ、パッドは高価な上、針を数回刺すと傷む代物だった。一体数十万〜数百万円と高価なため、台数がそろわず、多数回の練習にも使いにくかった。費用がかさむのを病院が嫌うので、マネキン練習を積まないまま、実地で患者を診る医師は少なくないという。以前から鎌田スプリングと医療機器の共同開発に当たっていた自治医科大学が、米国研究者がゼラチンを使った安価な人体模型を試作していることを知り、同社に模型作りを打診した。

しかし、ゼラチンでは人体に使う感触が再現できず、血管を模した穴もすぐに崩れてしまう。寒天で代用しても駄目。が、自治医大の地元(栃木)の「こんにゃくが使えたら面白いね」の冗談から急展開。水に浸ったこんにゃくは、超音波スキャナーの透過特性が人体と似ていて、内部を映せたのだ。そこから、さらに試行錯誤。おでん用は硬過ぎて使えず、刺し身用は軟らかくきめが細か過ぎ。対して、地元業者が手作りしている田舎こんにゃくは、人間の皮下脂肪に似た適度なきめがあり、ヒジキの粉を使った濃黒色はエコー映像をより鮮明にさせたのだった。

「ワイヤを挿入していく時の感覚が人体そっくり」とは自治医大側の弁。開発した模型や練習器具は30回以上も繰り返して使用でき、保存や廃棄も手間が要らない。価格も従来のマネキン等の20分の1程度と格安だ。
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