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しらたきと糸こんの違い

しらたき糸こんにゃく、どう違うの? こんな素朴な疑問を持ったことはないだろうか。その辺りの薀蓄がまとまっている野瀬泰申氏の著作が近頃文庫本化されたので、引用させてもらう。はっきりした「正解」としての結論は出ない。言葉にしろ、物であるにしろ、歴史的な流れの中にある生き物であり、今なお変わり続けているであろうから。『広辞苑』での「しらたき(白滝)」の定義は「糸ごんにゃくのさらに細く作ったもの」。単純明快だが、本当にそうなのか? 

白滝=板コンニャクより硬めに練った精粉(元ダネ)を“白滝製造器”に入れて、細かい穴から熱湯中に押し出して固めたもの。
糸こんにゃく=板こんにゃくを後から千切りにしたもの。

おでん研究家として名を馳せる新井由己氏がこんにゃく屋さんから仕入れた基礎知識によると、上記のようになる。何より製造方法からして異なっている。元は江戸時代の東日本/西日本における製法の違いから来ているようで、それは「日本こんにゃく協会」の「糸こんにゃく」の説明にも表れている。

糸こんにゃく=こんにゃくがまだ固まる前の糊状のときに細い穴に通しながらゆで、糸のように細いひも状にしたもの。精粉から作るものは、まるで白糸の滝のようなので「白滝」とも呼ばれています。(中略)ただし、江戸時代の頃は、しらたきと呼ぶのは主に関東で、関西では板こんにゃくを細く切ったものを糸こんにゃくと呼んでいたそうです。現在は関西でも細い穴に通して造っていますが、昔のなごりからか糸こんにゃくと呼ぶことが多く、また糸こんにゃくをより細くしたものをしらたきと区別する場合もあります。

関東でしらたき、関西で糸こんにゃくが作られていた。ところが近代になり、関西でも白滝を作るようになったが、以前と同じ「糸こんにゃく」の名前を用いた。また、糸こんにゃくをさらに細くした物を糸こんにゃくと区別して「しらたき」と呼ぶこともある、と。つまり、「糸こん」という名の(製法上の)しらたきもあれば、「しらたき」と呼ばれる(製法上は)糸こんにゃくも市場に出回っているのだ。ややこしいけれども、言葉が歴史を持った生き物であるという所以。

参考文献:野瀬泰申『納豆に砂糖を入れますか?』(新潮文庫)
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