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抜け雀

前回、触れた「抜け雀」のサゲの件なのだけれど――。主人公の絵描き(ひょろっぴいのちょいびり)が、親の絵師の一枚上手の仕事ぶりに感嘆しつつ、述懐する科白「いや親不孝ではあるまいか。現在 親に籠(駕籠)を描(舁)かせた」がなるほど、わかりにくい。故・米朝師匠曰く、「このサゲは、浄瑠璃『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』」橋本の段の、傾城吾妻のくどき、〽現在、親に駕籠かかせ……をふまえてあるのです」。
       ☆
さらりと「踏まえてある」と言われても、浄瑠璃の教養に乏しいぼく(ら)には即座に呑み込めず。小佐田定雄さんの解説を援用すると、「吾妻という傾城が駕籠に乗ったところ、その駕籠を担いでいたのが幼いころに生き別れた実の父だったことがわかって、吾妻が『いかに知らぬと云ふとても、現在親に駕籠かかせ乗った私に神様や仏様が罰当てて』と嘆くわけである」そうだ。
       ☆
浄瑠璃の元ネタを知らずとも、「現在親に駕籠かかせた」で、我が身の不幸と親不孝とを重ね合わせて、後は聴衆の想像力に委ねるか? その場でわからなくても、疑問があれば、聴衆が自分で調べればよいという姿勢……。あるいは、東京落語のように、マクラで“駕籠かき”を最下級の職業などと設定した上で、サゲの「親を駕籠かきにした」と半ば強引な理詰めに落とし込んでしまうのか?
桂雀喜さんの「抜け雀」は、上方落語の伝統に則って演じていた訳なのだなぁ。

参考文献:桂米朝 『上方落語 桂米朝コレクション7 芸道百般』(ちくま文庫)
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テーマ : 落語
ジャンル : お笑い

tag : 落語

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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