空の粒子

大阪市に戻します。鉄という素材を溶断・溶接して、周囲の
空間に溶け込むような作品を手掛ける彫刻家、青木野枝
(1958~)は昨年、紫綬褒章も受章していますが、淀屋橋
近くで、青木の作品「空の粒子/パッセージ 2015」を
鑑賞できます。平成27年1月に竣工した「日本生命保険
相互会社」東館は、日建設計の設計、大林組が施工。
その東側の歩道に、無数の鉄の輪から成るオブジェが
設置されており、北と南に樹木状の2基、その間に7本の
アーチが架かっています。東館で働く約3,300人の9割が
女性といわれ、鉄を使用しながら、自然に馴染む優しい
作風が、何とも相応しく。使用された厚さ12mmの円状の
鉄板はコールテン鋼で、錆びが進行後に安定する特性を
持つ。青木は「空に水が蒸発してまた地上に戻る、水が
循環する中で私たちは生きている。その世界を表現して
います 」と語っており、実際、錆びた鉄の樹やアーチが妙に気持ちをほっとさせてくれる
のです。鉄つながりで、アントニー・ゴームリー「Mind-Body Column」も思い出す
などして、仏像同様、錆びたり、汚れたりする自然の変化をも吞み込む様が良いのね。
参考記事:Art Trip(朝日マリオン.コム)
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