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豆腐は何丁、売れているか?(1)

往時、嫌いな食べ物ナンバーワンとして「TOFU」が挙げられる国、アメリカへ1980年代半ば、森永乳業の現地法人設立のため、雲田康夫氏が派遣された。雲田氏がコツコツと辛抱強く、米国に豆腐を認知させ、商売に励む様を描いた奮戦記『豆腐バカ 世界に挑む』の中で気になる記述がある。1970年代、森永乳業が牛乳で培った無菌包装の技術を豆腐にも応用するための研究を開始し、ついに、10か月間も新鮮さを保つことのできる無菌包装豆腐の開発に成功したころの話。

当時、(豆腐の)日本での『市場規模』market sizeが約4,000億円もあり、1日に1,200万丁が消費されていた。これを毎日牛乳と一緒に玄関の横に取りつけてある牛乳受け箱に配達すれば、家庭の主婦に喜ばれることは間違いない。“豆腐への決断”は速かった

既にルートの確立している牛乳と同じ日配品として豆腐を売り込もう、という着眼点も面白いのだが、ここで問題にするのは、市場規模および1日当たりの消費量である。本紙では豆腐業関連の資料として、総務省統計局、厚生労働省、経済産業省などの公表した調査結果を利用しているが、その辺りの資料を用いているのだろうか。

例えば「森永が防腐剤を使用しないで、しかも無添加additive-freeで、完全無菌の豆腐の開発に成功したことが、当時の日本の豆腐メーカー32,000社に与えた衝撃は、想像以上に大きかった」と書かれているのは、厚生(労働)省の発表する「許可を要する食品関係営業施設数」の豆腐製造業の数から採ったのではないかと推測される。1976年の豆腐製造業者数は3万2,047社で、雲田氏の挙げた数字と合致する。

断っておくと、豆腐の市場規模は、家計調査の1世帯当たり家計支出に該当年の世帯数を掛け合わせた家庭消費金額と等しくはないし、豆腐全体の消費量も1世帯当たりの購入数量に世帯数を掛け合わせた値とは異なる。雲田氏は「日本は2004年の実績によると、豆腐が1日に1,300万丁消費されているという」と記す。

統計局のデータ等を使って試算してみると、2004年の豆腐に対する1世帯当たり(農林漁家世帯を除く全世帯)の豆腐購入数量74.48丁に、世帯数4,983万7,731戸を掛けて、年間37億1,191万4,205丁。これを365(日)で割ると、1日当たり1,014万1,842丁という勘定になる。

参考文献:雲田康夫『豆腐バカ 世界に挑む』(光文社)
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