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テンペの仲間たち

インドネシア共和国の無塩大豆発酵食品「テンペ」は大豆を無塩発酵させたもので、納豆との最大の違いは、納豆が納豆菌によって発酵するのに対して、テンペはリゾープス属(クモノスカビ)の胞子をスターター(種菌)に用いることである。「納豆トライアングル」と呼ばれる地域を中心として、アジアには様々な大豆発酵食品が存在する。今回は「オンチョム」と「ケチャップ」について、紹介しよう。

オンチョム(Ontjom)

西部ジャワ地方の発酵食品で、食品の廃棄物を発酵によって再利用する。製法は、原料となる落花生の搾油かす、豆腐かす、キャッサバケーキなどを単品で原料としたり、または前記の廃棄物を混合したりして使う。蒸煮した後に、クモノスカビまたはアカパンカビを付けて発酵させる。

クモノスカビで発酵させたものは、胞子の黒い色がそのまま着色するので、「黒オンチョム(オンチョム・ヒタム)」。アカパンカビで発酵させたものは、薄い赤色から橙色になるので「赤オンチョム(オンチョム・メラ)」という。唐辛子を混ぜてから、フライにしたり、焼いたりして食べる。栄養成分や保健的効能はテンペに似ているという。

ケチャップ(Kecap)

内容的には全くの別物だが、いわゆる「トマトケチャップ」の語源にもなったインドネシアの発酵食品であり、またソースのルーツともいわれている。インドネシアやマレーシアで生産されている伝統的発酵調味料。ケチャップの製法は蒸煮した大豆を30℃ほどに放冷してから、そこにクモノスカビで作ったラギ(Ragi)という麹を粉砕して振りかけ、2〜3日間発酵させる。これを壺に入れて、食塩と水を加えて1〜3か月間発酵させ、最後に各種香辛料やヤシ糖などを加えて完成。

日本のみそとしょう油を一緒にしたようなドロドロ状の物で、インドネシアやマレーシアの食卓や台所で普通に見られる調味料。このケチャップに似た発酵食品に「タウチョ(Tauco)」や「タウアナー(Thua nao)」などがある。

参考文献:小泉武夫『発酵食品礼讃』(文春新書)
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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