まずい納豆

醸造学・発酵学の泰斗、小泉武夫氏は「粘り気の増す納豆と、納豆特有のあの匂いが強いもの」が好みだと言い、全国各地、世界各国で、納豆や納豆によく似た大豆発酵食品を食べ続けているが、当たり外れもあって、おいしい納豆の思い出が増えるにつれ、まずい納豆に遭遇することもままあるそうだ。納豆はかき混ぜる回数が多いと、うま味の強いグルタミン酸や甘味を持つアラニンなどのアミノ酸類が増えるとの研究もあるが……。

しかしこれまで、ずいぶんと食べてきたが、いくら掻き混ぜても不味い納豆も数々あった。納豆の本場ではないのでちょっと厳しい話になるけれども、沖縄本島や宮古島、石垣島あたりのホテルの朝食バイキングに出される納豆などはこれまで美味なものに当ったためしがない。丸い紙カップにパックされた少量入りの納豆なのだが、それがいくら掻き混ぜても糸を引かずにポロポロとしていて、その上、味にも力が無く、ぼやけている。そして肝腎の匂いも実に弱くて、どうも納得いかない納豆が多い。きっと沖縄地方ではまだ十分に納豆が普及していないので、意識的にそのようなクセのない製品にしているのかも知れない。


総務省統計局の家計調査報告(2005年)による納豆の購入金額で、那覇は49市中35位である。長崎34位、福岡32位、北九州30位、宮崎29位、佐賀28位と、熊本(11位)や鹿児島(15位)を除けば、総じて九州は納豆の人気がぱっとしない。

小泉教授は言う。

不味い納豆は、大概がそのように糸引きが悪く、味がぼけて、匂いの少ないものにまとめることができるが、中でもひどかったのは、九州のとあるところで出合った、あまりにも柔らか過ぎて、ぐちゃぐちゃなものである。醤油を滴らして掻き混ぜたとたんに、納豆が崩れ出し、掻き混ぜを続けているうちにズルリとするような感触になった。それを飯にかけて食うと、なんだかマヨネーズのようなぬるりとした感覚になって、実に不味と思ったことがあった。ズルリとするのは、大豆の煮過ぎと発酵させ過ぎによるのだから、この辺りをこれからは注意して欲しい。

参考文献:参考文献:小泉武夫『不味い!』(新潮文庫)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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