光紡ぐ肌

岡崎公園内の京都市美術館で、「モネ展(後期)」を
観た流れで、「光紡ぐ肌のルノワール展」も鑑賞。
「山王美術館」でもルノワールに触れていたので、
妙に、馴れ馴れしい気すらしないではありません。
正直、無防備なまでに、“幸福な生命の輝き”を
賛仰する彼の画風には、閉口させられそうな時期も
……しかし、ルノワールはそんなことを百も承知で、
「人生には不快なものがたくさんある。だから
これ以上、不快なものをつくる必要はない」と
言い切り、その信念を裏付ける技術にも長けていて。
ルノワールが“印象派”という括りからはみ出してしまうのは、
彼の確かな職人技よりも、そのモチーフに多くの者が魅せられてしまうから。
幸福そうな家族、女性、都会人の新鮮な生気に、鑑賞者は思わず微笑みます。
(ぼくは即物的に、ルノワールの描いた肌のしっとり感に、息を呑むのですが……)
今回の展示会のメイン(?)は、名作「舟遊びの昼食」の
その後を描いた「昼食後」でした。“日本初公開”という触れ込みです。
ルノワールはどうやら、18世紀ロココ絵画の巨匠、フランソワ・ブーシェ(1703~70)の技法を手本にしていたそうです。「亜麻仁油とテレピン油を独自に配合したシルバー・ホワイトのなめらからな下塗りの上に、水彩のように薄く溶いた透明な油絵具を何層も重ねてゆく。すると光を透過させた絵具は、下地の白が反射する光を受けて、しっとりと濡れたような豊潤な色彩になり、タッチを輝かせる」
参考文献:『西洋絵画の巨匠 ルノワール(小学館アーカイヴス)』(小学館)
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