蛙つながり

吉野山が祀られている話を数日前の記事にも書きましたが――秘仏探訪(=偶像崇拝友の会だけでなく、美術館めぐりで、モネルノワールに触れる機会が重なったため、印象派に関する書籍もいくつか読み続けている訳です。そこでのシンクロニシティ! 吉川節子『印象派の誕生』において、マネの問題作「草上の昼食」について論じられている個所で、蛙の登場と相成りました!

パリ画壇において、同作品(1863)が大スキャンダルとなったのは、裸婦が描かれていたこと自体にあったのではなく、そのヌードが神話上の人物でなく、同時代のリアルな女性像であったため。ボートでやって来た男性客2人の相手と思われる売春婦にしか見えないように、“確信犯”のマネは、裸婦の横に青い水玉模様のドレス、麦藁帽子を描き加えました。現場に来て脱いだのであり、想像上のニンフやヴィーナスではありませんよ、と念を押し。

「草上の昼食」自体は、ナポレオン3世の開催した「落選展」への出品であり、その治世下における第2帝政期フランスの風紀の乱れを、淡々と告発していると見えなくもなく……理想は語らず、寡黙な現実描写。科学的に“人間”をとらえた自然主義作家のゾラ、激変する都市“パリ”を言葉で描いたボードレールらと同時代の画家なのですね、やはり。近代絵画と近代文学は軌を一にしています。

さて、男性2人のうち、右側の男性が画面中央に差し出した右手が何やら曰くありげ。人差し指と親指が、明らかに画面上の何かを指し示しているのでした。親指は画面の最上部、人差し指は左下隅を指示しているようです。それぞれの指の先をたどっていくと、最上部には木の葉に舞う一羽の鳥、左下隅には一匹の蛙が……。

西洋の伝統では、地を這う両生類の蛙は『世俗的な欲望』を表す。一方、天空を自由に飛翔する鳥は『』、もしくは『高貴な精神』を象徴する。マネは人物構図の中心に示唆的な手を描き、その二本の指にそれぞれ蛙と鳥を指示させた。彼は世俗的な欲望と高貴な精神との対比を《草上の朝食》にはっきりと描き入れたのである

参考文献:吉川節子『印象派の誕生』(中公新書)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

コメントの投稿

Secret

カレンダー
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
Access Counter
   総閲覧者数:
Online Counter
現在の閲覧者数:
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリー
プロフィール

ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

リンク
月別アーカイブ
検索フォーム
メルマガ登録はこちらから
購読希望者はメール・アドレスを書き入れて「送信」してね!
Amazon
SOUKEN
QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示