あのひと
5月27日(金)、大阪の「なんばパークスシネマ」で映画を観ました。
(同シネマでは前回、ちょっと、不穏な事態に陥りかけたので、妙に警戒)
鑑賞した作品は、山本一郎・監督の『あのひと』(2014年)です。
大阪生まれの作家、織田作之助が昭和19年(1944)に書いたとされる脚本で、
一言一句、弄ることなく、そのまま映画化したそうです。
モノクロ/スタンダード・サイズの映像に、郷愁を誘われます。
戦死した部隊長の遺児、「小隊長」を育てる4人の帰還軍人らと、
彼らが勤め人として暮らす京都の下町に住まう4人の妙齢の女の子たち。
戦局が悪化したため、青年4人は軍需工場に働きに出ることを決め、
代わりに4人の女の子らが小隊長の面倒を見ることになります。
正確には、4人の男女に加えて、元・板前の鶴吉、トラばあさんもいますが。
劇団「とっても便利」の団員らが丁寧な芝居を見せてくれ、
映像作品というより、まさに“劇映画”と呼ぶべき空間において、
時代のエア・ポケットにはまったような、風変わりな 共同生活が描き出されます。
4人(+1人)が それぞれの“あのひと”の帰りを待ちわびながら……。
劇団員の好演も光る中、ぼくの好きな神戸浩(=鶴吉)の不器用な役柄が素敵。
その鶴吉を慕うトラばあさんは、老け役でもないのに、田畑智子が演じていたことで、
全体を貫く手堅いリアリズム描写に対して、「ばあさん」……「ばあさん?」と
心地良い一点のファンタジーを生み出していたように思います。
大阪の“オダサク”、幻の脚本ということから、大阪市交通局がタイアップ。
しかし、オダサクゆかりの地を紹介した「オダサク・マップ」などに、目新しさは皆無。
甘味処「夫婦善哉」や生國魂神社、口縄坂など、今更感が強くて……。
織田作之助が古くなったのでなく、オダサク観がアップデートされてないんですね。
古典は常に新しい“読み”が出来るのに、古い読みに固執してしまっているようです。
そのせいでもないでしょうが、ぼくの観た回は、ぼくを含めて観客は計4人。
声高に語る大作ではありませんが、心の中で、ひっそりと愛でたい好編でした。
(同シネマでは前回、ちょっと、不穏な事態に陥りかけたので、妙に警戒)
鑑賞した作品は、山本一郎・監督の『あのひと』(2014年)です。
大阪生まれの作家、織田作之助が昭和19年(1944)に書いたとされる脚本で、
一言一句、弄ることなく、そのまま映画化したそうです。
モノクロ/スタンダード・サイズの映像に、郷愁を誘われます。
戦死した部隊長の遺児、「小隊長」を育てる4人の帰還軍人らと、
彼らが勤め人として暮らす京都の下町に住まう4人の妙齢の女の子たち。
戦局が悪化したため、青年4人は軍需工場に働きに出ることを決め、
代わりに4人の女の子らが小隊長の面倒を見ることになります。
正確には、4人の男女に加えて、元・板前の鶴吉、トラばあさんもいますが。
劇団「とっても便利」の団員らが丁寧な芝居を見せてくれ、
映像作品というより、まさに“劇映画”と呼ぶべき空間において、
時代のエア・ポケットにはまったような、風変わりな 共同生活が描き出されます。
4人(+1人)が それぞれの“あのひと”の帰りを待ちわびながら……。
劇団員の好演も光る中、ぼくの好きな神戸浩(=鶴吉)の不器用な役柄が素敵。
その鶴吉を慕うトラばあさんは、老け役でもないのに、田畑智子が演じていたことで、
全体を貫く手堅いリアリズム描写に対して、「ばあさん」……「ばあさん?」と
心地良い一点のファンタジーを生み出していたように思います。
大阪の“オダサク”、幻の脚本ということから、大阪市交通局がタイアップ。
しかし、オダサクゆかりの地を紹介した「オダサク・マップ」などに、目新しさは皆無。
甘味処「夫婦善哉」や生國魂神社、口縄坂など、今更感が強くて……。
織田作之助が古くなったのでなく、オダサク観がアップデートされてないんですね。
古典は常に新しい“読み”が出来るのに、古い読みに固執してしまっているようです。
そのせいでもないでしょうが、ぼくの観た回は、ぼくを含めて観客は計4人。
声高に語る大作ではありませんが、心の中で、ひっそりと愛でたい好編でした。
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