ピカソの秘密

「あべのハルカス美術館」は、ぼくもお気に入りです。
6月24日(金)は「ピカソ、天才の秘密」展を鑑賞。
ピカソの生涯を4つの時代に区分し、
計91点の作品が展示されていました。
第1章 少年時代(1894~1901)
第2章 青の時代(1901~1904)
第3章 バラ色の時代(1905~1906)
第4章 キュビスムとその後(1907~1920s)
少年時代から順に32点、9点、23点、27点。
最もピカソ的なキュビスム以降の作品数が少ない!
つまり、キュビスム誕生以前のピカソ、
ピカソが“ピカソ”となるまでの軌跡をたどる企画です。
青の時代の始まりは、パリで共に研鑽を積む友人画家、

カルロス・カサジェマスの悲恋の末のピストル自殺……。
その時代の作品は、どれも悲哀漂うブルーの画面。
天才少年画家の佳作・秀作に感心してきた鑑賞者は、
ここで初めて、“ピカソ”という個性の萌芽を目にします。
その後、緩やかに回復したピカソは、バラ色の時代に
突入する訳ですが、フライヤーにも使用され、
目を奪われてしまう「扇子を持つ女」(1905年)。
女の着衣やバックに、青の時代の名残は窺えますが、
生色あふれる瑞々しい肌の色に救われます。
が、扇子を持つ彼女のポーズは一体、何でしょう?
最初、ジャポニスムの流れを汲んで、
太極拳の一動作か何かだろうか?と疑いました。
しかし、持ち上げている右脚さえなければ、左手から扇子を外して見れば……
むしろ、如来像などでよく見られる施無畏与願印(せむいよがんいん)ではなかろうか、と。
そう気付いてしまうと、右手は施無畏印、左手は与願印の相にしか見えてきません。
ピカソが仏教美術に精通していたという事実は知りませんが、
芸術の根幹、あるいは人体の取るポーズは、人種・民族を超えた無意識の部分で
何かしら通底するものがあるのではないかしら?などと思えてきたのでした。
扇子を持つ女は、観る者(描いた者も含め)に慈悲を与えてくれるようなのです。
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