山川方夫ノオト
山川方夫を読んでいて、いくつか気付いたこと、気になること。
・山川方夫は、ニーチェ読みではないのか?
ぼく自身が哲学科出身で、卒論でもニーチェを専攻したニーチェ読みのせい?
彼の文章の端々に、ニーチェのテクストから生の抽出めいたものを感じるのです。
「ねえきみ。きみも当然そうだろうが、おれは先験的に、自分が――いや、すべての人間が、実はひとつの禁止さるべきなにかであるという確信がある。人間は、本来的に、一つの過剰な自由、無制限な、危険な一つの自由じゃないんだろうか。“社会”がそういう存在にあたえる言葉でいえば、もともとすべての人間は“狂人”であり、“異常者”であり、さまざまな禁止の柵でかろうじて制止されている奔馬か 野牛みたいな“怪物”じゃないだろうか?」
(『トコという男』デパートにて)
・ハードボイルドに対する一見識。
ハードボイルドには“非情”という枕詞が付く一方、感傷的と貶す一派もある訳です。
始祖のダシール・ハメットにそんな評言は的外れもよいところなのですが、
羽目を外したレイモンド・チャンドラーやロバート・B・パーカーになると、流石に。
ハードボイルドもまた、“短歌的抒情”を克服すべきジャンルなのかもしれません。
「おれには日本人にいちばんピッタリしてるのは、いわゆるハードボイルドという名の感傷小説だと思うよ。だって、あれはみんな、他人が自分ではないってことの恨みつらみだもの……」(『同』ヘンな日本人)
・山川方夫が生前、海外で評価されていた時代――。
ショートショートの名手として扱われていたらしい。
(スタンリイ・エリンやロアルド・ダールらのように)
“奇妙な味”系の作家として括られていたのか?
ということは、「ヒッチコック・マガジン」に連載されたショートショート、
連作集のタイトルが『親しい友人たち』と名付けられたのは、
ダール『あなたに似た人』(原題:Someone Like You)へのオマージュか?
参考文献:山川方夫『親しい友人たち』(創元推理文庫)
・山川方夫は、ニーチェ読みではないのか?
ぼく自身が哲学科出身で、卒論でもニーチェを専攻したニーチェ読みのせい?
彼の文章の端々に、ニーチェのテクストから生の抽出めいたものを感じるのです。
「ねえきみ。きみも当然そうだろうが、おれは先験的に、自分が――いや、すべての人間が、実はひとつの禁止さるべきなにかであるという確信がある。人間は、本来的に、一つの過剰な自由、無制限な、危険な一つの自由じゃないんだろうか。“社会”がそういう存在にあたえる言葉でいえば、もともとすべての人間は“狂人”であり、“異常者”であり、さまざまな禁止の柵でかろうじて制止されている奔馬か 野牛みたいな“怪物”じゃないだろうか?」
(『トコという男』デパートにて)
・ハードボイルドに対する一見識。
ハードボイルドには“非情”という枕詞が付く一方、感傷的と貶す一派もある訳です。
始祖のダシール・ハメットにそんな評言は的外れもよいところなのですが、
羽目を外したレイモンド・チャンドラーやロバート・B・パーカーになると、流石に。
ハードボイルドもまた、“短歌的抒情”を克服すべきジャンルなのかもしれません。
「おれには日本人にいちばんピッタリしてるのは、いわゆるハードボイルドという名の感傷小説だと思うよ。だって、あれはみんな、他人が自分ではないってことの恨みつらみだもの……」(『同』ヘンな日本人)
・山川方夫が生前、海外で評価されていた時代――。
ショートショートの名手として扱われていたらしい。
(スタンリイ・エリンやロアルド・ダールらのように)
“奇妙な味”系の作家として括られていたのか?
ということは、「ヒッチコック・マガジン」に連載されたショートショート、
連作集のタイトルが『親しい友人たち』と名付けられたのは、
ダール『あなたに似た人』(原題:Someone Like You)へのオマージュか?
参考文献:山川方夫『親しい友人たち』(創元推理文庫)
- 関連記事
スポンサーサイト
tag : 小説