スケキヨ

市川崑・監督の『犬神家の一族』(1976)を
8月19日(金)、「シネマート心斎橋」で鑑賞しました。
“角川映画”そのものとしても第1作品に該当し、
大ヒットを記録して、小説と映画のメディア・ミックスを
理想的な形で提示したもののように思われます。
(ぼくがかつてミステリー・マニアとして育ったのも、
横溝正史の角川文庫本をスタート地点としています)
飄々としていて、シャイな金田一耕助像を
新たに創り上げた石坂浩二の佇まいが良いです。
「那須ホテル」女中・はる(=坂口良子)との掛け合いが
くすぐったくも、ほんわかとした気分にさせられるのです。
原作者・横溝正史が覚束無い科白回しで、同ホテル主人役を務めているのも要注目。
内容は、横溝お得意の“見立て殺人”。犬神佐兵衛(=三國連太郎)翁の遺した
家宝「斧(よき)・琴・菊」に見立てて、遺産相続候補者の3人の孫が 次々と
殺されていくという。今回、久方ぶりに映画を観直したことになるのですが、やっぱり、
「斧(よき)」の説明は、きちんと言語化してほしかったなあ、と。
あの犬神佐清(その実、青沼静馬)が、頭部を斧で叩き割られて死ぬ訳ですが、
凶器が斧というだけでは、“湖面から突き出た両足”という死体発見シーンが???
原作だと、佐清は特に斧で殺害されたことにはなっておらず、
佐清(すけきよ)の死体が倒置させられ、下部だけが見えている状況から、金田一さんが
「よき(けす)」=「斧」の見立てである、との推理を披瀝する段取りになっています。
しかし、ノスタルジーなのか、同時代性なのか、子供心(?)には
『犬神家の一族』と『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)が被っていて、
世界観も何もかも、共通点は無さそうなのに、どうして……と、長い間、
怪訝に感じていたものですが、嗚呼、音楽だったのか!と。カリオストロと同様に、
主題曲「愛のバラード」をはじめ、犬神家の音楽を担当していたのが、大野雄二。
ちなみに、大野雄二は 主演の石坂浩二と 慶應で同級生だったそうです。
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