岡山の橋(2)

一級河川、旭川は岡山城の北面から東背後を
堀代わりに蛇行しています。旭川の対岸には、
「岡山後楽園」が設けられています。
岡山市北区出石町から旭川の上に架かるのが
「鶴見橋」。現在でも、丹頂鶴が鶴舎で飼育
されるように、江戸時代から後楽園と切っても
切り離せない鶴に因んだネーミングでしょう。
後楽園側で目についたポストの上にも、
2匹の夫婦鶴のオブジェが飾られていました。
☆
後楽園から「夢二郷土美術館」に行こうとすれば、

後楽園北口まで「蓬莱橋」を渡る必要があります。
鶴見橋の設計が田島治二、高欄・意匠が武田五一!
であるのに対して、蓬莱橋自体は今ひとつ、
特徴のつかみづらい橋のような気がしましたが、
蓬莱橋周辺から眺める旭川の河川敷の様子は、
花見やBBQの場所としてはうってつけと思われました。
また蓬莱橋の袂、現在の夢二郷土美術館の駐車場の
辺りに、「西大寺鉄道」(軽便鉄道)の後楽園駅が
存在した模様。“西鉄(さいてつ)”は、地方鉄道として
日本唯一の914mm 軌間を持つ鉄道だったとのこと。
昭和37年(1962)、JR赤穂線の開通を受け、
競合を避けるために廃線――と、Wikipedia などの記述。
☆

「月見橋」となります。鶴見橋同様に、
お月見スポットとして最適といった理由から
名付けられたのでしょうか? 旭川の水面に
映る月、あるいは夜空に黒々とそびえる烏城
(=岡山城)を照らす月……様々な絵になる
情景が思い浮かぶのですが、この昭和29年
(1954)に完成した全長115.2m、幅員3mの
鉄筋トラス橋、デザインが不評といわれ続けて、
改修の声が根強いとか。機能美はありますし、
日本の城だから橋も“和”のデザインを、みたいな発想の方こそ、ステレオタイプで
やれんなあ、と。解剖台の上での、ミシンと雨傘との偶発的な出会いのように
美しいと現状肯定するつもりは何もなく、半世紀以上も責務を果たしてきた建築物を
この期に及んで、腐したり、貶したりするのが、ただ可哀想過ぎると思うのであります。
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