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若冲逍遥

切れ切れの記憶の中から、伊藤若冲に関することが思い浮かんできます。
……そういえば、昨年(2015)6月23日に訪れた「あべのハルカス美術館」。
金刀比羅宮の宝物が展示された「昔も今も、こんぴらさん」において、
若冲の「花丸図」を鑑賞しているぞ、と。同展は他にも、円山応挙の襖絵
遊虎図」「七賢図」、高橋由一豆腐」といった眼福に恵まれた展覧会でした。

また、別の記憶から、若冲の技法の一つ“枡目描き”について。
モザイク画とも称されるこの技法は、西陣織の下絵、方眼線を引いた設計図
正絵(しょうえ)」からヒントを得たものと考察されていますが、
そこで思考の原糸は、過日訪れた「知恩院」の「友禅苑」に紡がれていきます。
先染めの色糸で織られた西陣織の模様と、白生地に染料で模様を染め出す
友禅染後染め)とは、織りと染めという全く別の技法ですが、よく混同されます。

若冲を観た後、友禅苑を訪ねた日は、西陣織 meets 友禅染を体現したのかなあ、
なんてことを思いつつ、Wikipedia などによると、宮崎友禅斎を“友禅染の始祖”と
呼べるかどうかについては、議論の余地があるみたい。江戸時代の元禄年間、
京都で扇絵として活躍し、“友禅模様”という名称の下、扇絵や小袖の雛形を
デザインした友禅ブランドの創始者といった位置付けで、間違い無いようですが。

西陣織と友禅染くらい、若冲から離れていってしまったなあ、と考えながら、
コンビニで入手した2冊の若冲本を見比べ、同じ「動植綵絵」全30幅とはいえ、
判型の違いを差し引いても、色味の違いから全く印象が異なってくることに
嘆息を洩らし、本当に当たり前のことですが、絵は現物を生で観なければ
と自分に言い聞かせるのでした。絵に限らず、仏像近代建築も同様ですが、
リアルな物を眼前にしたところで、照明(や自然光の状態)に大きく左右されて
しまうことを覚悟しておかなければならず、何であっても、一期一会ではあります。

参考文献:狩野博幸【監修】 ペン編集部【編】『若冲 その尽きせぬ魅力』(CCCメディアハウス)
      
監修/狩野博幸『若冲の世界』(宝島社)
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テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術豆腐

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たまに「考える人」、歴史探偵。
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