Good grief

村上春樹の初期短篇集・逆輸入版『象の消滅』を読んでいて、
女性登場人物まで「やれやれ」と呟いているのを再確認したことで、
通常ならば、違和感を免れず、マッチョな書き手だなあ、と
不信感を抱きかねないところなのですが、まあ、春樹だから、
読者側の方でも、やれやれ、仕方ないなあ、というレベルに落ち着き、
作家の刻印とも言うべき文体上の特徴とも化しているのですが、
村上春樹・訳のチャンドラーでも、フィリップ・マーロウが「やれやれ」
口にしているのに出喰わしてしまい、原文は何なんだ!と気に懸かるのでした。
       ☆
「私は彼を失望させたりはしない。彼のことを愛しているから」
やれやれ」と私は呻いた。「そして君は私をこの部屋に閉じ込めている」

(村上春樹・訳『大いなる眠り』)
       ☆
"I wouldn't let him down. I love him."
"Good grief," I groaned. "And you have me right here in the room with you."

(Raymond Chandler『The Big Sleep』)
       ☆
「Good grief」は英語の常套句。JB の「Good God!」のような感じでしょうか。
研究社の『リーダーズ英和辞典』では、「おやまあ」「へえー」「何てこった!」
といった訳を示し、「驚き・不信・嫌悪などを表す」と解説を加えています。
スヌーピーの登場する「ピーナッツ」で、主人公のチャーリー・ブラウンが
こぼす「やれやれ」という科白が、「Good grief」だったのかと今更ながらの感慨。

参考文献:村上春樹『象の消滅』(新潮社)
       レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』(ハヤカワ文庫)

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トーヨー新報
ぽか様


初めて書き込みさせていただきます。

「納豆 統制組合」の検索で表示された、
「戦中納豆は「豆腐並み」を陳情する」を興味深く読ませていただきました。

実は最近、実家にて70年ほど前の私の祖父の履歴書が見つかりました。
当時祖父は50代のようでした。
戦時中に宮城の納豆組合と「全国納豆工業組合聯合会」の書記長を兼任していたらしく、それまで現在の家族はそれを知りませんでした。父が小学校5年生の時に祖父が他界していた為、あまり伝わっていませんでした。

色々知りたいと思い、そのころの全国納豆工業組合聯合会のことが書かれた資料をご存じであればご紹介ご紹介していただけたらと思います。

ちなみに祖父はぽか様と同じく新聞記者だったようで、大正時代に茨城新聞社や建築の業界紙の仕事をしていたようです。

多謝

>> もり様

コメント、ありがとうございます。

過去の記事にまで、興味をお持ちいただきありがとうございました。
現在、手元に資料はほとんど残っていないのですが、
可能な範囲でお調べさせていただきますので、
もう少々、お時間を頂きたく存じます。
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ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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