『暖簾』の大阪弁

昔、姐御とDVDで落語映画の傑作 『幕末太陽傳』(1957)を観たことがあり、
その流れで、川島雄三・監督の『暖簾』(1958)を観ることにもなったのです。
菊田一夫の戯曲化した山崎豊子の原作を、さらに川島監督らが脚色。
森繁久彌が演じる主役・八田吾平が、丁稚奉公から暖簾分けしてもらい、
一人前の昆布商人として独立し、(間に第二次世界大戦を挟みつつ)
息子(二男)に跡を継がせて、亡くなるまでが描かれた一代記なのですが、
映画として丹精に作られているばかりでなく、旧き良き時代の大阪の風俗を
懐かしむ人たちには、何とも言えず、訴えかけるところが随所にあるようです……。
その脚色、八住利雄と川島雄三が手掛けたとの知識だけで終わりそうなところ、
作品全体のトーンの重責を担う大阪弁へのリライトは、藤本義一が請け負っていた
と知りました。この頃の藤本(1933~2012)は、まだ20歳代前半だった訳ですね。
       ☆
 大阪弁に直すんだったら藤本はどうかという話が、大映から東宝のほうに行ったんですね。東宝でちょうど川島監督が『暖簾』というのを撮ろうというので準備をしていた。これもどういうわけか八住利雄さんのシナリオなんですけど、このシナリオがやはり標準語なんです。『暖簾』というのは、大阪の老舗のぐうたらな坊(ぼん)を描くというテーマですから、どうしても科白の部分を全部大阪弁に書き改めなくてはいけない。だから東宝の宝塚映画まで行ってやってこいというので、宝塚映画に行って、生の原稿というか、今みたいにコピーはありませんから、誰かが書き写した八住さんの原稿をもらって帰ってきて、それを大阪弁に直して、という作業をしていました。
(藤本義一「師匠・川島雄三を語る」)

参考文献:藤本義一『鬼の詩/生きいそぎの記』(河出文庫)
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通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



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「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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