折々の納豆(2)
本田一弘(心の花)
つやめける納豆餅を呑みこめばうつせみのわが喉がよろこぶ
☆
『角川 短歌 2月号 2017』(角川文化振興財団)から、納豆の歌(敬称略)。
かつて、青木青児のエッセイ「陶然亭」にて紹介された一品、
あるいは京都・京北地域のソウル・フードとしての納豆餅について
触れたことがあります。水田稲作民にとっての“ハレ”の日の食べ物がお餅です。
そこに日本食らしい納豆が加わるだけなのですけれども、山形県、京都府の
公式ホームページで堂々と、郷土料理として取り上げられているほか、
宮城県、北海道などでも食されているようです。ただし、搗き混ぜるのか、
搗きたてに絡めるのか、焼いた(茹でた)後に絡めるのか、スタイルは千差万別。
冒頭の一首は、「おさがり」と名付けられた計7首のうちに含まれ、他の歌に
柳津、磐梯山、安達太良などの地名が見えることから、作者は福島県人。
となれば、山形県タイプのように、搗きたての餅に納豆を絡める食し方でしょうか。
「つやめける」の語も、つやつやとした搗きたてのお餅を表現しているようですね。
「うつせみ(=うつそみ)」は、この世の人、この世、現世の意。
“うつせみ”という古語により、卑近な正月風景が、ぐんと文学的に映じてくる仕掛け。
つやめける納豆餅を呑みこめばうつせみのわが喉がよろこぶ
☆
『角川 短歌 2月号 2017』(角川文化振興財団)から、納豆の歌(敬称略)。
かつて、青木青児のエッセイ「陶然亭」にて紹介された一品、
あるいは京都・京北地域のソウル・フードとしての納豆餅について
触れたことがあります。水田稲作民にとっての“ハレ”の日の食べ物がお餅です。
そこに日本食らしい納豆が加わるだけなのですけれども、山形県、京都府の
公式ホームページで堂々と、郷土料理として取り上げられているほか、
宮城県、北海道などでも食されているようです。ただし、搗き混ぜるのか、
搗きたてに絡めるのか、焼いた(茹でた)後に絡めるのか、スタイルは千差万別。
冒頭の一首は、「おさがり」と名付けられた計7首のうちに含まれ、他の歌に
柳津、磐梯山、安達太良などの地名が見えることから、作者は福島県人。
となれば、山形県タイプのように、搗きたての餅に納豆を絡める食し方でしょうか。
「つやめける」の語も、つやつやとした搗きたてのお餅を表現しているようですね。
「うつせみ(=うつそみ)」は、この世の人、この世、現世の意。
“うつせみ”という古語により、卑近な正月風景が、ぐんと文学的に映じてくる仕掛け。
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なっともぢ
子どものころ、朝食の支度の手伝いといえば、どんぶりに、
納豆を2袋あけて、お箸でぐるぐるとかき回して、しょうゆを
加え、食卓に並べる、というものでした。
そのころ、1袋(当時はパック入りではありませんでした)、
100gだったので、今と違って、結構な量だったと思います。
それを、お茶碗のご飯が隠れるくらいかけて食べていました。
毎朝、くらいの勢いです(笑)
それほど納豆になじみがありましたが、なぜか、餅と合わせて
「納豆餅」にして食べることはありませんでした。
山形県は、大きく、海側と内陸側と2つの文化に分かれます。
私は海側に住んでいますが、嫁ぎ先の義父が、内陸の人で、
お正月前に、家で(餅つき機で)餅をつくと、出来立てのもちを
必ず、納豆餅にして食べます。
「納豆餅」というものを、初めて見ました(笑)
山形県のHPも、初めて見ました(笑)
「なっともづ」は、内陸の言い方で、
私たち海側の者は、「なっともぢ」と訛ります。
納豆を2袋あけて、お箸でぐるぐるとかき回して、しょうゆを
加え、食卓に並べる、というものでした。
そのころ、1袋(当時はパック入りではありませんでした)、
100gだったので、今と違って、結構な量だったと思います。
それを、お茶碗のご飯が隠れるくらいかけて食べていました。
毎朝、くらいの勢いです(笑)
それほど納豆になじみがありましたが、なぜか、餅と合わせて
「納豆餅」にして食べることはありませんでした。
山形県は、大きく、海側と内陸側と2つの文化に分かれます。
私は海側に住んでいますが、嫁ぎ先の義父が、内陸の人で、
お正月前に、家で(餅つき機で)餅をつくと、出来立てのもちを
必ず、納豆餅にして食べます。
「納豆餅」というものを、初めて見ました(笑)
山形県のHPも、初めて見ました(笑)
「なっともづ」は、内陸の言い方で、
私たち海側の者は、「なっともぢ」と訛ります。
地域
>> アヲさん
貴重な現地情報をありがとうございます。
こういった話題について触れたり、調べたりする時に
気を引き締めてはいるのですが、必ずしも、
地域=都道府県といった区分にはならないということです。
以前、岩手県であったり、静岡県であったり、
他の都道府県でも教わったことがあり、
重々認識してはいるつもりなのですが、本当に注意が必要ですね。
貴重な現地情報をありがとうございます。
こういった話題について触れたり、調べたりする時に
気を引き締めてはいるのですが、必ずしも、
地域=都道府県といった区分にはならないということです。
以前、岩手県であったり、静岡県であったり、
他の都道府県でも教わったことがあり、
重々認識してはいるつもりなのですが、本当に注意が必要ですね。