豆汁(ごじる)で下地処理
着物のほか、鯉幟の色付けなどに使われる伝統技法「カチン染」で、大豆が用いられている。染織分野においても、大豆は活躍しているのだ。食用にとどまらない、意外な大豆の利用法である。
染色とは布や革などの(織物用)繊維に色素を吸着・結合させることだが、羊毛や絹などの動物性繊維はたんぱく質から成っているため、最初から色素と結合しやすく、染まりが良い。しかし、綿など植物性繊維の場合は相性の悪い染料が大半であり、人工的にたんぱく質加工をすることで染まりを良くできる。植物性たんぱく質を代表する存在といえば、大豆である。
麻、藍、木綿は、日本の三草と呼ばれていた。虫除け効果もあって、布地を丈夫にする藍染めは、特に植物繊維に適した染料だが、その他の天然染料と植物繊維の相性はあまり芳しくない。木綿に染着しにくい発色を得たい時は、豆汁(ごじる)に繰り込んで30分間ほど浸す「豆汁下地」の工程を行うと、希望の色に染色できる。合成(化学)染料を使った染色に対して、天然染料を用いた染色を「草木染め」(山崎斌氏の命名)と呼ぶ。
豆汁下地の草木染めの場合の具体的な行程は次のとおり。
「綿糸1キログラムに対し、大豆約200ccをふやかします。3倍ほどにふくれて600ccとなります。2回に分けて各1.2リットルの水を加えてミキサーにかけ、布袋で漉し、双方の豆汁糟を合わせて、さらに1.2リットルの水を加え、同工程を繰り返します。豆汁に糸を繰り込み、30分間浸けて固く絞り、充分に乾燥させます。多少の着色が残るため、淡色には不適です。染色時にはまんべんなく水分を浸透させてから用います」
このように染織の際の下地処理で用いられるほか、豆汁には空気中の二酸化炭素を吸収すると水に不溶性となる性質があり、これを利用して、沖縄の伝統的な型染め「紅型(びんがた)」のように顔料の固着剤として用いる例も見られる。また、薄めた豆汁を染料のにじみ止めや浸透止めに使うことも多い。
参考文献:田中清香、土肥悦子『図解 染織技術事典』(理工学社)
染色とは布や革などの(織物用)繊維に色素を吸着・結合させることだが、羊毛や絹などの動物性繊維はたんぱく質から成っているため、最初から色素と結合しやすく、染まりが良い。しかし、綿など植物性繊維の場合は相性の悪い染料が大半であり、人工的にたんぱく質加工をすることで染まりを良くできる。植物性たんぱく質を代表する存在といえば、大豆である。
麻、藍、木綿は、日本の三草と呼ばれていた。虫除け効果もあって、布地を丈夫にする藍染めは、特に植物繊維に適した染料だが、その他の天然染料と植物繊維の相性はあまり芳しくない。木綿に染着しにくい発色を得たい時は、豆汁(ごじる)に繰り込んで30分間ほど浸す「豆汁下地」の工程を行うと、希望の色に染色できる。合成(化学)染料を使った染色に対して、天然染料を用いた染色を「草木染め」(山崎斌氏の命名)と呼ぶ。
豆汁下地の草木染めの場合の具体的な行程は次のとおり。
「綿糸1キログラムに対し、大豆約200ccをふやかします。3倍ほどにふくれて600ccとなります。2回に分けて各1.2リットルの水を加えてミキサーにかけ、布袋で漉し、双方の豆汁糟を合わせて、さらに1.2リットルの水を加え、同工程を繰り返します。豆汁に糸を繰り込み、30分間浸けて固く絞り、充分に乾燥させます。多少の着色が残るため、淡色には不適です。染色時にはまんべんなく水分を浸透させてから用います」
このように染織の際の下地処理で用いられるほか、豆汁には空気中の二酸化炭素を吸収すると水に不溶性となる性質があり、これを利用して、沖縄の伝統的な型染め「紅型(びんがた)」のように顔料の固着剤として用いる例も見られる。また、薄めた豆汁を染料のにじみ止めや浸透止めに使うことも多い。
参考文献:田中清香、土肥悦子『図解 染織技術事典』(理工学社)
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