『鬼畜大宴会』ほか(再掲含む)

秘密のビデオ会」を開催しました。
きちんとカウントしてはいないけど、第29回。
内容も時間も濃厚で、真剣に向き合えば、頭がくらくらします。
熊切和嘉・監督『鬼畜大宴会』(1998)、
ピーター・ジャクソン監督『ブレインデッド』(1992)、
三池崇史・監督『オーディション』(2000)のほか、
箸休めに、スティーヴ・オーデカーク監督『親指タイタニック』(1999)。
どれも、ぼくが繰り返し鑑賞した作品ばかりです。
決して名画でも、いわんや感動作でもさらさらありませんが、
良くも悪くも、ぼくの血肉に染み込んだ作品群ではあります。
今更、何を語りたくもないのですけれど、昔、ホームページ上にアップロードした
『鬼畜大宴会』についての覚え書きをサルベージできたので、再掲しておきますね。

       【偏愛的映像論 2001

遅れ馳せながら、ビデオ鑑賞した、熊切和嘉・監督の
長編デビュー作 『鬼畜大宴会』(1998年)の感想をば……。
和風スプラッターの雄だとか、暴力映画の問題作だとか、
先行するイメージは多々ありますが……例えば、「醜悪な物語」(by 崔洋一)、
「思いっきりエロティックで、思いっきりおっかない映画」(by 林真理子)
といった物云い……飽くまで、それはマス・イメージなので、
自分の眼で見てみないことには、ね。文脈は分からないのですが、
林真理子の「エロティック」云々は、何か、違うだろ!とも思いましたし。
       ☆
ぼくの物事に対する判断は、意外に単純で、面白いか/面白くないか
であって、更に言うと、「面白い」というのは、(小説でも、映画でも)
凄いか、どうかってことに落ち着くのです。楽しいか/楽しくないか
で言うと、『鬼畜大宴会』は決して楽しい映画ではありません。
でも、暴力シーン、グロテスクなシーンを含めて、ちょっと面白いよ、と。
(暴力シーンや、性的描写等の「~が含まれております」が、
これは芸術作品ですからという但し書きをよく目にするのだけれど
……潔くありませんよね。芸術性を言い訳にしやがって!
「~」こそが肝腎のものであり、それらを欠いては、
何の面白みもない作品が多過ぎることよ。テーマや大義名分など、
後から来る奴らに語らせておけば十分。毒こそ美味、です)
       ☆
「松竹」ではなく、「松畜」とのクレジットに大笑いし、
赤犬による和太鼓のBGMに胸もどよめき、
同種の閉塞感を持った暴力と狂気を描きながらも、
全く毛色の異なる、松村克弥・監督 『オールナイトロング』(1992年)を
思い浮かべて、この差異は何に兆すものだろう?と。
赤犬と、『オールナイトロング』の音楽を手掛けた秋山勝彦(P-MODEL)の違い? 
観終わった後に、泣くに泣けない哀しさを残すのが『オールナイトロング』で、
呆然自失するしかないのが『鬼畜大宴会』ですかねえ? 
(崔洋一の言う通り、「破壊への衝動を刺激する」のは確かですが、
“物語”的結末を迎えるせいで、その破壊衝動は腰砕けになっているでしょ。
ぼくが脚本ならば、ラストで、ニヒルな人斬り・藤原を 廃墟から 街中へ放ちます)
       ☆
換言すると、『オールナイトロング』に色濃かったポエジーが、
『鬼畜大宴会』では一顧だにされていない、という事実でしょうか。
(作家性の違いもありますが)多少は、時代のせい(90年代前半/後半)もあるのかなあ?
線の細いデリカシーは跡形も無く、代わりに、野放図な磊落さが幅を利かせます。
その牧歌的?!野蛮さが、『鬼畜大宴会』に巧まざるユーモアらしきものを
与えていることがこの荒んだ物語の中では、奇跡のようで……
先輩・熊谷と後輩・杉原の下宿生活(フォーク・ギターの取り持つ縁)、70年代の
左翼グループがアパートの一室、ひとつのちゃぶ台を囲んでの食事シーン
(役割分担が出来ていて、薬味や具材をまめによそってくれるの)に、
レトロでは片付けられない、妙な郷愁を ぼくは覚えました。


 
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 映画

コメントの投稿

Secret

風化

あと、年数が経過したためか、『鬼畜大宴会』が
残虐で陰惨なことには変わりないのだけれど、
野山など、自然がさりげなく映っているのに、
ほっとさせられてしまうことに、ちょっと、びっくりしました。
人間はどうしようもないことをやらかして、
目を覆いたくなるけど、草木や土や空は知ったことでないよ、と。
カレンダー
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
Access Counter
   総閲覧者数:
Online Counter
現在の閲覧者数:
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリー
プロフィール

ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

リンク
月別アーカイブ
検索フォーム
メルマガ登録はこちらから
購読希望者はメール・アドレスを書き入れて「送信」してね!
Amazon
SOUKEN
QRコード
QR
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

RSSリンクの表示