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BATMAN V

劇場では見逃した Zack Snyder 監督『バットマン vs スーパーマン
 ジャスティスの誕生』
(2016)をようやく観ることが出来ました。
原題は『BATMAN V SUPERMAN : DAWN OF JUSTICE』と、
“VS”の“S”が抜け落ちています。スーパーマンの“S”と被るから
必要無いとも言えますし、或いは、その“S”のキャラが脱落することを
示唆しているのでしょうか? 同じく、ザック・スナイダー監督の前作、
『マン・オブ・スティール』(『スーパーマン』のリブート作品)の続編
としての位置付けとなるので、前作だけは観ておけという意見も多々
ありましたが、ぼくは未見です。スーパーマンは好きではないのです。
しかし、「アメコミ脳」と言うか、アメコミの最低限度の“お約束”さえ
知っていれば、特に問題は無いかと思います。スーパーマンは
クリプトナイト(鉱物)という致命的な弱点を有する――程度でOK。
       ☆
基本、ぼくは変態かつ犯罪者であるブルース・ウェイン(=バットマン)が
大好物でして、本作でバットマンを演じたベン・アフレックに対して
あまり期待はしていなかったのですが、蓋を開けてみれば、十分合格点! 
歪んでしまった復讐心、世間に心を開かない猜疑心、敵組織の調査から
武器の製作まで、何でも自分でやらなければ気が済まない職人気質……
最高です。相手が超人とはいえ、トラップ仕掛けまくりで待ち伏せるし、
蝙蝠ではなく熊にしか見えなくなるまで、重装備化したバット・スーツは
ほとんどモビル・スーツ状態だし。スーパーマンとの一対一の死闘は、
完全にプロレス的な肉弾戦です(バットマンだけは凶器攻撃OK状態)。
どこからどう見てもヒール・レスラーでしかないバットマンに快哉を上げました。
       ☆
元々日陰者のバットマンはそれでよい(?)のですが、問題はスーパーマン。
根っこを辿れば前作もそうなのでしょうが、クリストファー・ノーラン監督の
ダークナイト三部作」を引きずってしまい、徹底したリアリズムで描こう、と。
が、21世紀ですよ。カンザスの田舎の農夫が夢見るようなヒーロー像は、
土台無理な訳です。今回、ぼくが驚愕、かつ哄笑したのは、スーパーマンが
議会の公聴会に出頭
するシーンで、いかにもアメリカ合衆国だなあ、と。
映画の冒頭から、正義とは? 力とは何ぞや?と、七面倒くさい議論を
喧しく執り行っていた訳ですが、タイトルの「Justice」(正義)がそもそも、
DCコミックスのヒーローが終結する「Justice League」の謂いと
観客も承知しているのだから、何だかなあ?と。畢竟、ティム・バートンから
クリストファー・ノーランに至るバットマン映画で燻(いぶ)し出されてきたように、
「正義」は存在しない(決して、無くていいと言っている訳ではありません)。
       ☆
無いからこそ、限られた人知・体力・資力の内で足掻き続けようとするのが、
バットマン的なものでなかったかと愚考するので、ジャスティス・リーグなんて
普通に考えれば、思想的撤退~退行としか思えず。ヒーロー大集合という
“お祭り”のお題目が必要なのはわかりますけれども。そんな構造的欠陥、
大人の事情で決め打ちされたストーリーの中で、シリアスぶらざるを得ない
スーパーマンが気の毒で、可哀想。勧善懲悪に徹し、明快なヒーローだった
彼こそ、ジャスティス・リーグに最も相応しいキャラなのに、今回は分が悪過ぎ。
バットマンのおかしさに、霞んでしまいがちな敵役ですが、レックス・ルーサー
Jr.
役のジェシー・アイゼンバーグが大健闘。その他、『DEEP COVER』
ローレンス・フィッシュバーン、『戦慄の絆』『KAFKA/迷宮の悪夢』
ジェレミー・アイアンズ、『クラッシュ』のホリー・ハンター……ぼく好みの
役者が続々と名を連ねていました。ワンダーウーマンの件はまたどこかで。
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歌わない詩人、喰えない物書き。
たまに「考える人」、歴史探偵。
フードビジネス・コンサルタント
(自称)。
好きな言葉は「ごちそうさま」。

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