清凉寺マナー

乗って、嵯峨嵐山駅で下車。いや、秋の京都を
舐めていました。紅葉シーズンとは言いながら、
外国人観光客でごった返していましたよ。
風情も、侘び寂びもあったものではないな、と
ぼやきつつ、ぼくの目的地は「清凉寺」一択。
「国宝」展にて邂逅の成らなかった「釈迦如来
立像」とようやく相見えることになりました。
同寺の通称“嵯峨釈迦堂”に表されるような
単なる本尊としてだけでなく、古代インドの優填(うでん)王が釈迦37歳時の姿を写した
霊像の模刻(985)といわれ、東大寺の僧、奝然(ちょうねん)が中国(宋)から請来した
とされます。インド~中国~日本と伝来したので“三国伝来の釈迦像”、生前の釈迦に
生き写しであることから“生身の釈迦”等の異名もあります。この釈迦如来立像の
凄さは、由来にもあるのですが、(それ自体が模刻であったにも関わらず)同様の
スタイルのさらなる模像が、全国的に流行して造られたと経緯があります。いわゆる
「清凉寺様式」で、例えば、「西大寺」の釈迦如来立像も同タイプでしたね。
特徴はガンダーラ様式の頭髪、両肩から張り付くように密着するインドグプタ様式の
衣、木目にも似た彫り“流水文”、3段に重なった裾――などでしょうか。一度見たら
忘れられなくて、あちらこちらのお寺で、あ、清凉寺様式だ!と、うれしくなります。
本堂で正面から、左右に行ったり来たりして斜めから、枯山水庭園を眺めた後も
再度、じっくりと鑑賞させていただきました。個人的にタイプではなかったはずが、
人気の程も十分に納得させられざるを得ない実力に感服させられた仏像でした。
「清凉寺」には他にも国宝の彫刻がありまして、源融絡みの話は後日また……。
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