町人天文学者・間重富

谷町四丁目へ行き、「大阪歴史博物館」を訪ねました。2016_06_16_天球儀
前回(ひと月ほど前)訪れた際は、流れてしまったため、
満を期しての再訪です。常設展示などはよく観に出掛け、
最後に入ったのがいつだったか調べてみれば、2014年
11月7日の金曜歴史講座考古学から見た上方の
お酒」
を聴きに来ていました。今回の主目的は、重要
文化財指定記念となる特集展示「なにわの町人天文
学者・間重富
」。(はざま)重富(1756~1816)は、
大坂の質屋でありながら、江戸幕府の御用測量をも
務めた天文学者でもありました。冲方丁『天地明察』
にも描かれていましたが、天体の運行、暦法を司る者は
古来、最高権力者や神職と定まっていたものです。
対して、一介の町人である間重富が高度な科学技術・
知識をもって活躍していた点が痛快です。国語学者・新村出(『広辞苑』編集者)は
後に、「難波津にあきひと(商人)さひす天つ星 究めはかりし稀(まれ)らなる君
との賛を寄せています。重富の息子、間重新(しげよし)宛ですが、「大塩平八郎
書状
」も展示されていて、どきり。陽明学もまた天文暦学を必要としたのでしょう。

参考文献:冲方丁『天地明察(上)』(角川文庫)
       冲方丁『天地明察(下)』(角川文庫)

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 近代建築 小説

折々の豆腐(3)

吉村睦人(新アララギ)
寒き冬帰り来たれば卓の上に鱈多く入りし湯豆腐が待つ
本多稜(短歌人)
山ひとつ朝飯前に平らげて高野豆腐に鯉の味噌漬け
       ☆
『角川 短歌 4月号 2017』(角川文化振興財団)から豆腐詠2首を抽出(敬称略)。
「冬」に「湯豆腐」は、俳句ならば、くどいと感じそうな語の斡旋(そもそも季重なり)
ですが、短歌なので良いか、と。当たり前ですが、音数に余裕があるのですから。
ただ引っ掛かるのは、鱈を入れたらば、鱈鍋であって、湯豆腐でないのでは?
という一抹の疑問です。鱈がメインではないけれども、意外に量が多かったの? 
まあ、堅いことは言わず、何なりと好きな物を放り込もうが、豆腐は懐が深いです。
高野豆腐の歌は、「雪の武奈ヶ岳」12首のラストを飾っています。滋賀県大津市の
武奈ヶ岳ですか? 他の歌にも、深い雪山での暮らしの点景が描かれています。
「朝飯前に平らげて」がダブル・ミーニングで働いており、(おそらく)武奈ヶ岳を
朝食前の時間帯に登ってきて、非常に容易で“朝飯前”だったということなのか
……朝飯の内容が、高野豆腐に鯉の味噌漬け。シンプルでいて、滋養満点です。

テーマ : 短歌
ジャンル : 小説・文学

tag : 豆腐 高野豆腐

毛馬の眼鏡橋

タイトルを「大阪の眼鏡橋(3)」にしようか?と2017_06_13_眼鏡橋(毛馬)
思うくらい、“眼鏡橋”のトピックスが続きます。
淀川は標高差の少ない大阪平野を流れており、
その流路は近世まで大きく蛇行していました。
明治29年(1896)から淀川大改修事業が開始。
大阪市都島区の毛馬閘門辺りから流路を
付け替える「新淀川」の開削工事でした。
現在、「淀川」と呼んでいるものが新淀川で、
旧・淀川はほぼ現在の大川に当たります。
さて、開削工事に伴い、掘削した土を運搬
するための「長柄運河」も一時的に開削され、明治35年(1902)に完成。その運河の
仮橋が老朽化したことから、大正3年(1914)、新たに架けられたのが「眼鏡橋」。
アーチは1つしか見当たりませんね……長柄運河自体は昭和42年(1967)に
埋め立てられましたが、毛馬閘門に隣接する跡地に、眼鏡橋は保存されており、
実際に渡ってみることも可能。高欄は昭和55年(1980)に補修されたものです。

参考記事:大阪府 治水のあゆみ

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

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千本松大橋

2017_06_13_千本松大橋 “眼鏡橋”と名の付く橋は多々在ります。
 狭義では、アーチが2つ連なった石造2連の
 アーチ橋を指すはずですが、アーチが1つでも
 見つかれば、“眼鏡橋”を乱発してしまう模様。
 (造幣局にも「めがね橋」が在りましたね)
 今回、紹介する“めがね橋”はアーチを持たず、
 上空から見た形状を“眼鏡”に見立てての
 ネーミングです。正式名称は「千本松大橋」。
 大阪市の大正区と西成区の間、木津川に
 架かっています。画像は、千本松大橋西詰。
眼鏡の“眼”に該当する部分が、橋の両岸の2段の螺旋状の桁で、要はループ橋
長さが323m、水面から桁下までの高さ34mとなり、木津川を使用する大型船の
安全運航に必要な高さだといいます。片側に歩道も設けられてはいましたが、
千本松渡し」の渡船が今も利用できるらしくて、機会があれば、乗船したいもの。

参考文献:若一光司『大阪 地名の由来を歩く』(KKベストセラーズ)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

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日本最多差路

2本以上の道路が交わる交差点を「多差路」といいます。
交差点=十字路のような先入観をお持ちの方は多いですが、
十字路は多差路の一つ、(2本の直線路が直角に交わっている)
四差路の特殊形態と呼んで差し支えないかと思われます。
三差路の特殊形態に丁字路Y字路があるようなものです。
と、ここまではまだ片手で数えられる範疇ですが……
東京都大田区には「七辻」と呼ばれる7差路、
東京都東村山市には「九道の辻」が在り、
日本最大の多差路は、東京都江戸川区の「菅原橋交差点」! 
国道14号(千葉街道)に11本の道路が集中し、11差路を形成。
近場に在れば、必ずや足を運んで、調べ倒してくれたでしょうに。

参考文献:博学面白倶楽部『眠れないほど面白い「道路」の不思議』(三笠書房)
参考記事:なにがなにやら……日本で一番道が交わる11差路が東京にあった!?

テーマ : つぶやき
ジャンル : 車・バイク

tag : つぶやき

62円切手

はがきに貼る切手を買おうと、コンビニ店員に「はがきに貼る切手をください」と言う。
背後の引き出しから、はがきを持ち出してくるものだから、
「はがきではなく、はがきに貼る切手をください」と改めて注文してみる。
すると、中国人らしき店員は「52円切手ですか? 62円切手ですか?」と訊いてくる。
「はがきに貼る切手でいいです」と押し問答になりかけたところで、
奥から別の店員(おそらく中国人のようだけれど、日本語は随分と流暢)が登場。
6月1日から郵便料金の改定が実施されており、
52円(はがき)が62円に値上げされていると説明してくれる。そうだったんだ!
(消費税増税時を除く実質的な価格改定は1994年以来23年ぶり)
しかし、「52円切手を貼ってください」と指定されているはがきには、
どちらの切手を貼ればよいのかな? 確かめるのが億劫になり、62円切手を購う。

テーマ : 日記
ジャンル : 日記

tag : つぶやき

BACK9

「朝日カルチャーセンター」中之島教室での講座を愉しんだ後、
堂島を上がり、大阪駅前第1ビル地下2階に潜り込みました。
金曜日の夜、リーマン天国でどこも大混雑の駅前ビルなのですが、
幸いにも、「BACK9」で席が空くところに出喰わしましたよ。
ホルモンと串揚げがメインで、肉好きには堪りませんし、
バー仕様なので、女子にも案外と入りやすいですね。
(駅前ビルにも「丸喜酒店」など、女子に優しいお店が増えました)
「BACK9」には1人当たり税込み1,500円の「夜とくセット」があり、
490円までのドリンク2杯、490円までの料理1品に加え、
串揚げお任せ3本のセットという内容になります。
これは、看板だけ「せんべろ」で実質は“ちょい呑み”でしかない
商売に比べて、かなり、財布に易しい心配りと感じます。
1杯目は生ビール(濃くうまブラック)、一品はさいぼし(馬肉の燻製)。
2杯目以降は冷酒にし、串揚げも追加で注文したミックス・ホルモンも美味。
2時間という制限はありますが、質実伴った良いお店と体感できました。

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑む

時代を語ろう

6月9日(金)、「中之島フェスティバルタワー」へ向かいました。
目的は、「朝日カルチャーセンター」中之島教室の開催する
内田樹×高橋源一郎 いま 時代を語ろう in 大阪」の聴講。
18階の5・6教室を使用する予定が、申し込み多数のため、
12階「アサコムホール」に会場変更。開講は19時からですが、
17時半から入場整理券を受け取りに行く必要がありました。
列に並んで整理券を得ると、地下の「HUB」でモヒートを呑み、開場待ち。
       ☆
酷い腰痛に悩まされている高橋源一郎先生が口火を切って、昨今の
怪しい法整備などをやんわりと当て擦り。基本、オプティミスティックなので、
体制からの検閲はどうとでも抜け道はあるとして、危惧されるのは
民間での相互監視システム(自警団等を含む)への流れの方で、ぼくも同感。
ルサンチマンをこじらせたかのように、ただ相手の揚げ足を取ることに終始する
ぎすぎすした関係性が目立ちますもの。“論破”の一手段としてのみ、
ディベートが用いられることがおかしいと内田樹さんが述べておられ、
お互いの立場や思想を退けるのでなく、引き立て合える対話の場があれば、と。
       ☆
基調は、加藤典洋の“敗戦後”論を軸にして、現代日本の見取り図を描く流れ。
1945年、第二次世界大戦での敗北を機に、対米従属を強いられた日本。
(国際法上、イタリアは戦勝国、フランスは敗戦国という指摘は面白かったです)
しかし米国の温情を得ると、エコノミック・アニマルと化して、高度経済成長期の
大躍進を果たし、お金で国家主権を買い戻さんばかりの勢い……だったのが、
バブル崩壊。相変わらず、国家安全保障理事会の常任理事国にもなれず、
アジアの近隣諸国からの信頼も得られていない格好が続くとなれば、
現在の日本には政治的目標が無い、との問題点が指摘されました。
       ☆
その経緯で、敗戦国の思想家らのトラウマにも触れられ、
物言いがストレートでなくなる、敗戦/占領という現実を隠蔽しようとし、
世代を経てはその記憶自体が抹消されるような事態を招いてしまう、と。
(逆に、良い点を挙げますと「負けた人は優しい」となります。
敗北を知る者は、他の人らの痛みに敏感になれる……はずなのです)
現在は、その「敗戦後」が終わろうとしている混迷の時代で、
次の「ポスト敗戦後」に向けてのヘゲモニー争いをしている状態と見ます。
       ☆
では、次の時代を見据える意味で、大切なことは何か?と言えば、
 ● 敗戦/占領という事実をきちんと考えること
 ● “根源”に戻ってみること
との2点にまとめられました。天皇制も絡んできますし、
その“根源”が大問題なのですけれども。いわゆる「戦後民主主義」とは
異なってくるにせよ、一部の識者が主張するように、明治に帰れとも言えず。
大日本帝国憲法下の天皇制なんぞ、高々1世紀にも満たない異例であって、
民俗学的な視点から見れば、およそ2000年に及ぶスパンを視野に収めない
議論は、いずれも片腹痛いものになるでしょう。高橋先生は天皇の本義として
祈る”ことを示唆され、ぼくとしては、釈迢空を思い浮かべるのでありました。

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テーマ : 日記
ジャンル : 日記

tag : 講座 つぶやき 小説

「幸福」の残映

「幸福」という言葉でぼくが想起するのは、
ぼくの生活上の記憶ではなく、ぼくが読んだ小説の一節。
語り手が恋人(もしくは妻)と動物園に出掛けて、
動物の家族が泥んこになっている様をぼんやりと眺めている
場面だったのですが、出典を特定できなくて困りました。
村上春樹に似たようなシーンはありますが、春樹ではなく、
高橋源一郎先生の初期三部作だったはずとの確信を元に
読み返してはいるのですが、該当個所が見つからなくて……。
山川直人・監督の映画『ビリィ★ザ★キッドの新しい夜明け』の方? 
はっきり覚えているのは、『さようなら、ギャングたち』が講談社文芸文庫
ではなく講談社文庫、『ジョン・レノン対火星人』が新潮文庫、
『虹の彼方に』が中央公論社の単行本で初めて読んだということです。
講談社文芸文庫も(2冊は)底本を同じくするので、何かと取り違えている? 
映画はVHSテープで保管しているので、該当シーンを探すのが難儀そう。

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

tag : 小説 つぶやき 映画

亀と燕

「幸福」って何? ぼくは知らない。幸せって何?と、宙に向かって独り言。
でも、例えば、特別なご馳走という訳でもなくていいから、
街の洋食屋さんや呑み屋さん(大阪市内で言えば、
中津のグリル「アイ」であったり、谷四の「わんしょっと」であったり)
で、
瓶ビールをゆっくりと呑むのは良い気分。
あるいは、どこぞと出掛けたお寺さんの放生池で、
亀同士が取り交わす不可解な両前足のサイン(信じ難い敏捷さ!)や、
引っ切り無しに餌を運んでくる親燕に対する子燕たちの喧しい応対を
ぼんやりと見るともなく眺めやっているのも、悪い気分ではないよ。
たぶん、せっかちに先を急ぐのは、最期にのほほんとしていたいだけ。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

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ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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