若松孝二ほか

いつでも、どこでも思い立ったが吉日の「秘密のビデオ会」。
気紛れじゃないか?と言われたら、そうですねえ……としか
答えようがないけれども、第32回は若松孝二・監督ほか。
若松孝二(1936~2012)は、反体制的だからとか、ポルノだからとか
そういう理由を抜きにして、いつの間にか何本となく観ていた印象。
『処女ゲバゲバ』(1969)や『ゆけゆけ二度目の処女』(同)など、
滅茶苦茶なのですが、直球ストレートをぽんぽん投げてくる
短時間試合の爽快さみたいなものを感じられないでもなくて。
あ、大和屋竺・監督『荒野のダッチワイフ』(1967)、
大島渚・監督『愛のコリーダ』(1976)は、若松監督がプロデュース
……何か、凄ぇ! 内田裕也・主演の『水のないプール』(1982)、
佐野史郎・主演の『完全なる飼育 赤い殺意』(2004)も、
普通に面白いですよ。でも、今回は『聖母観音大菩薩』(1977)。
八百比丘尼”伝説を主軸に据えて、脇役を(若き日の)浅野温子、
蟹江敬三、石山蓮司、殿山泰司と意想外に豪華な布陣で固めたところで、
いろいろと とち狂った観は否めません。ヒロイン役が松田暎子
松田英子(本名)は、『愛のコリーダ』つながりでの起用ですかね。
しかし、若松監督の『キャタピラー』(2010)における寺島しのぶ
入魂の演技力をもってしても、性愛と戦争(=政治)の乖離は
埋め難かった訳でして――原作・江戸川乱歩の密やかなリリシズムを
愛好する者にとっては、大失敗作としか言いようがないでしょう――、
『聖母観音大菩薩』でも、やはり性愛と宗教(=思想)の離合は避け難く、
少年の訴える世界の不可解、人生への疑問も白々しく宙に浮いたまま。
ただ、そのまとまりのなさ、無造作な問題放棄の手付きが気になって、
若松孝二の映画を度々観てしまうのかもしれないなぁ、と思います。
間に挟んだのが、同じく1977年作の牧口雄二・監督『女獄門帖 
引き裂かれた尼僧』
。牧口雄二(1936~)は石井輝男の助監督を
務めていた時代もあったと聞けば、なるほど、と。これも結局のところ、
奇天烈なカルト。ホラー。纏綿たる日本的情緒はしつこく、胸焼けしそうですが、
汐路章佐藤蛾次郎コンビや白塗りの志賀勝など、終幕まで飽きさせません。

  

テーマ : 邦画
ジャンル : 映画

tag : 映画

浅野川の橋(2)

2018_05_27_浅野川大橋
2018_05_28_梅ノ橋
2018_05_28_天神橋
 古都・金沢のイメージにぴったりと適うのが、
 「浅野川大橋」でしょうか。パンフレットや
 ポスターなど、観光案内でも引っ張りだこ。
 美麗過ぎて、ひねくれ者のぼくなんか、
 「犀川大橋」だって、背伸びしている中学生
 男子みたいで、可愛いじゃないか!と、変な
 肩入れをしそうになってしまいますけれど。
 「犀川大橋」同様に、国の登録有形文化財。
 主計町茶屋街ひがし茶屋街をつなぎ、
 左岸の袂には火の見櫓も建っています。
 橋長55m、幅員17mの鉄筋コンクリート造り、
 3連充腹式上路アーチ橋で、スパンドレル
 部(外壁)はドイツ壁(=モルタル掃き付け
 仕上げ
)で処理されています。アーチ環は
 目地付きコンクリート洗い出し、橋脚の水切り
 部には花崗岩を使用。何とも、技の博覧会! 
        ☆
 この辺りの右岸の沿道が「秋聲のみち」、
 左岸の沿道が「鏡花のみち」と呼ばれて
 いるのはともかく、“金沢の三文豪”として
 挙げられる徳田秋聲泉鏡花室生犀星
 のうち、秋聲はちょっと格が落ちるのでは
 ないか、と……「浅野川大橋」の上流に
 架かるのが「梅ノ橋」。「中の橋」と似て、
 木製欄干、桁隠しを持ちますが、擬宝珠を
 有せず。代わりに、橋の袂には純和風の
 カーブミラー(?)が設けられていましたね。
鏡花の『義血侠血』に描かれたことから、その戯曲版『滝の白糸』碑も在りました。
一番下の画像が、今回は実地に渡れず、遠目に眺めただけの「天神橋」です。
現在の橋は昭和30年(1955)に架けられたローゼ橋。橋の名前だけで、即座に
大阪市の地元の橋を連想してしまいますが、金沢市に限らず、大阪府池田市でも
見かけましたし、全国各地に散在するかと思われます。どこかへ流れたにしても、
そのどこかとここはつながっていて、逆に、ここはまた別のどこかでもあるのでしょう。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 小説 建築

10日も昔

同じ業務に就いていても、何かとおかしな人らは大勢いる。
皆が一つの目的を持って結集した訳ではさらさらなく、
結果としてのギャラ、金銭を得るだけのために、
わらわらやって来ただけの烏合の衆だったりするから。
仕事中に席替えしたり、横や背中を向いて世間話を始めたり、
年だけ食っても、中身は阿呆な小学生並みか、ADHD か
といったレベルの人らと一緒に労働に勤しむというのは、
正直、非常にしんどい。苦痛だし、毎時、徒労感に襲われる。
でもね、呑み込まれては駄目なんだ。他人は所詮、他人なんだ。
こつこつ、自分の仕事を頑張るしかないし、見る人は見ているよ。
残業をようやく終えて、「ホワイティうめだ」の「うさぎ食堂」まで。
さっぱりレモン餃子、拌麺、麻婆豆腐、蒸しパンを摘まみ、
パクチー酎ハイを呑む。金沢を訪れたのは、もう10日も昔。

テーマ : つぶやき
ジャンル : 日記

tag : 呑む つぶやき 豆腐

自由軒 in 金沢

5月27日の日没前、主計町(かずえまち)から2018_05_27_自由軒
浅野川大橋」を渡って、“ひがし茶屋街”へ
入りました。そろそろ時分時。相方とT中さん
3人で観光客よろしく、きょろきょろと物色します。
当たりをつけていた「とどろき亭」がまだ準備中
だったため、もう1軒のビストロ「自由軒」に
突撃しました。「自由軒」と言えば、大阪にも
老舗の同名店がありますが、自由民権運動
意気盛んだった明治時代の日本では、流行の
ネーミングだったのでしょう。明治42年(1909)から続く
創業100年のオムライス”が売りの洋食屋です。
建物自体は、上部に和風民家の切り妻屋根が覗き、
昭和8年(1933)改装による看板建築然とした姿。
モルタル仕上げの壁に、幾何学的な文様有り。
中に一歩足を踏み入れれば、半和風。座敷に上がり、
オムライスの他、メキシカン・サラダ、銀串焼き、
一口カツなどを摘まみに、白ワインを数本空けました。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 呑む 近代建築

浅野川の橋(1)

2018_05_27_彦三大橋
2018_05_27_小橋
2018_05_27_中の橋
 金沢市内を歩き倒している際、土地勘が無い
 ものだから、独り、混乱していることが多々
 ありましたねえ。手中の金沢市観光マップは
 左下にJR金沢駅が記されていて、主立った
 観光名所が地図中央に来るように配置されて
 います。どうにも、ぼくの頭は地図の上方が
 “北”という風に刷り込まれているため、勘が
 狂ってしまうのでした。「文学フリマ」終了後、
 横安江町商店街を北上(歩いている最中は
 方角が曖昧)。東別院や西別院の前を通過。
        ☆
 彦三大通りに出て、浅野川に辿り着いた
 までは良いのですが、方向感覚がおかしく
 なっているものですから、水は流れるままに
 流れているはずなのに、上流と下流が逆
 ではないのか?と、変なことばかり、考えて
 いましたよ。「彦三大橋」は特に何と言う
 こともない桁橋。欄干の一部に植物の透かし
 模様が入っていましたが、何の花(実?)か
 不明。路地に入り込むと「あめの俵屋」の
 大暖簾が目に飛び込んできました。小ぶりの
 トラス橋「小橋」はぼく好み。身の丈に合った
 サイズ感が軽快ですね。そのまま南へ下る
 (川を遡る……南下することが、川の上流に
 つながるという感覚に不慣れ)と、「中の橋」。
 ようやく、金沢のイメージをアピールしてきた
 というか、木造の欄干、擬宝珠、桁隠し
雰囲気を出す歩行者専用橋。橋を渡った左岸が茶屋街として知られる「主計町」です。

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag :

鳥遊軒

大阪市北区の「露天神社」拝殿前に建つ2本の石柱2018_06_03_鳥遊軒
(=注連柱)の1本には、第二次世界大戦時のグラマン
戦闘機による弾痕が残されていたりするのですが、
向かって左側の1本の脇に「曽根崎道祖神」が在り、
その左方に「じらいや」が設置されていたのです。
ところで、弾痕のあるもう1本の柱の脇にも、「大阪
御堂筋アート 2018」の出展作品が置かれています。
放り出された古い手水鉢のように、境内に馴染み
過ぎてか、つい見過ごしてしまいます。「ならまち」の
町屋の礎石から造ったという杉村仁氏の「礎石鉢 
鳥遊軒
」です。御堂筋アート開催期間(~6月14日)が
終了しても、そのまま、恬淡と居着いていそうな……。

テーマ : 美術館・博物館 展示めぐり。
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 美術

堺筋本町酒場

2018_06_01_堺筋本町酒場 二人芝居を観た後は、心斎橋から本町まで
 心斎橋筋を北上。「船場センタービル」へ
 潜りました。1970年生まれの同ビルは、
 「中央大通」の直下に建ち、あたかも「大阪
 駅前ビル
」のようにこなれて、良い感じ。
 駅前ビル同様、撤去が検討されていますが
 ……その船場センタービル(1~10号館のうち)
 4号館B2Fに入っている「堺筋本町酒場」を
 お邪魔しました。17時になるかならないかの
頃合いで、まだまだ空いており、ゆっくり座れました。立ち呑みのカウンターも有り。
暖簾には「やきとん」の文字が見えますが、実は、串焼きホルモンが旨いのです!
逆の意味で、裏切られましたよ。女子店員に薦められたレバテキも納得の自信作。

参考記事:船場センタービル ― 船場の歴史

テーマ : ご当地グルメ
ジャンル : グルメ

tag : 呑む 建築

メビウス(LINX'S)

6月1日(金)、大阪市中央区の「船場サザン2018_06_01_船場サザンシアター
シアター」に出掛け、「LINX'S」プロデュース
二人芝居『メビウス』を観劇してきたのです。
脚本は劇団「ショウダウン」のナツメクニオ
90分のSF仕立てのラブ・ストーリーなのですが、
途中でやや飽きてしまったかもしれません。
悪くはないのですが、核となる“”の記憶が
空っぽなんだもの。空っぽだからこそ、逆説的に
もの凄い地点にまで持っていくことも可能な
場合もあるとはいえ、そこに主眼を置く世界観でもないので。
幸福な結婚生活というものを無根拠に受け容れられる人向け
……あくまで、脚本レベルの話。5月26日(土)~6月3日(日)、
大阪では計21回、6組のキャストで舞台に載せていました。
6月1日14時半からの公演は、森将栄×藤崎絢己の2人で。
若々しく、ストレートな演技には、好感を持たざるを得ません。
客席25席と掛け値無しの小劇場で、誤魔化しは利きませんから。

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 演劇

★ 2018年5月に読んだ本 ★

同人誌のデータ入稿が押していて、読書が捗らなかったのは前月同様。
最新号が発行できて、現在は達成感よりも虚脱感の中にいます。
       ☆
『第150回=文楽公演 平成30年4月 国立文楽劇場』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
『文楽床本集 国立文楽劇場 平成30年4月』(独立行政法人日本芸術文化振興会)
室生犀星『杏っ子』(新潮文庫)
『角川 短歌 4月号 2018』(角川文化振興財団)
吉田健一『金沢・酒宴』(講談社文芸文庫)……マイ・クラシック。
岡本太郎『美の世界旅行』(新潮文庫)
田中優子『春画のからくり』(ちくま文庫)
 ……春画の隆盛と錦絵の発展は江戸文化の裏表でしょ。
ヒノモトテルヲ『バイバイひつじ』(Studio planets)
 ……「第4回 文学フリマ金沢」で入手した絵本。

テーマ : 読書記録
ジャンル : 小説・文学

犀川大橋

2018_05_28_犀川大橋 金沢入りする前に、敬愛する吉田健一
 『金沢』を読み返していて、本当に良い小説
 なのですが、作中度々、犀川に架かる鉄橋に
 ついて触れられており、これは是非とも、目に
 入れておきたいものだと考えていたのですよ。
 金沢市内を流れる犀川男川浅野川
 “女川”として比され、また、犀川は室生犀星
 浅野川は泉鏡花と関連付けられることが多々
 あります。断然、ぼくは泉鏡花をリスペクトして
いますけれども、犀星も毛嫌いしてはいないし、実際に渡った「犀川大橋」も好みです。
年譜で知られる吉田健一の金沢初探訪は、昭和32年(1957)。国道157号に架かり、
大正13年(1924)施工の橋ですから、吉田の見た鉄橋は現在の橋と基本的に同じか
と思われます。ただし、5回ほど、塗り替え工事が行われており、現在は青灰色系5色
グラデーションとなります。設計は関場茂樹。橋長62.3m、全幅員21.7~23.7m。
形式は一径間鋼・曲弦ワーレントラス橋で、国の登録有形文化財(第17-0040号)。
       ☆
 併し金沢では犀川の向うの家がこっちの家に話し掛けていた。それは家だけだっただろうか。内山はその家がある丘から広い道を通って金沢の賑かな部分に降りて行く所に犀川に掛っている鉄橋を初めは不恰好なものに思っていたが、それを何度か歩いて渡ったり車で過ぎたりしているうちにその橋が金沢に住むものには金沢の一部である為にそれが事実そうであることに気が付いた。これは放送用の塔を立てた川向うの建物と同じでその橋に雪が降っている時と橋が春の日差しを受けている時と違うのはそれがその橋であることに変りはないからだった。その橋を何代の人間が渡ったかに就て心配することはないのはその歴史を調べれば解った。今は冬でもその時刻の日光を浴びて鉄橋の肌が温っている筈だった。それは現にそこにいるのと同じ感じで内山は鉄橋のことから丘の上の家にいる自分に戻った。この推移は自然であって鉄橋と内山がいる部屋を繋いで金沢という町の空間を拡げた。犀川の川原まで降りて行けばその鉄橋が見える筈だった。

参考文献:吉田健一『金沢・酒宴』(講談社文芸文庫)

テーマ : 建築
ジャンル : 学問・文化・芸術

tag : 小説 近代建築

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ぽか

Author:ぽか
通りすがりの夢想家。元(にして最後の)「トーヨー新報」編集人。現在は、一介の編集素浪人?



豆腐業界唯一の全国版専門紙
「トーヨー新報」は、昭和33年(1958)創刊。大豆加工品(豆腐・油揚げ、納豆、豆乳、湯葉、凍り豆腐、もやし等)、こんにゃく、総菜業界をメイン購読者層に、月3回の旬刊紙「トーヨー新報」や業界関連データブック『豆腐年鑑』を発行。平成25年(2013)12月21日号、第1851号をもって終刊に至る。

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